逮捕の観客「自分の愚かさ恥じる」ツール・ド・フランス大転倒事故
Japan In-depth / 2021年7月3日 18時0分
■ 開催側に対して、もっと安全に気を配るように意思表明する選手たち
この事故に対し、メディアやSNS上では、女性を非難する声であふれた。しかしながら、ツール・ド・フランスでは第2・第3ステージでもクラッシュが相次ぎ、各チームから主催者側にも怒りの声が上がった。29日の第4ステージ開始時には、選手側から主催者側に対しての安全を求める抗議として、選手177人がスタート地点から数メートで一分ほど一時停止して表明したのだ。
今回ほどの大規模ではないにせよ、ツール・ド・フランスでは落車やクラッシュは毎年起こっている。その大きな原因は、道の整備の悪さもあるし、今回のように5mもない細い道を通る際に道にはみだした観客が原因になることもある。
▲写真 第108回ツール・ド・フランス2021、第1ステージ(ブレストからランデルノーまで)の様子(2021年6月26日) 出典:Tim de Waele/Getty Images
集団になって走行する際には、前や隣の自転車との距離が30cmも無いところを走ることもある。しかし、それをやりこなすからこそプロでもあり、落車で怪我をしてもよほどの重傷でない限り、すぐに自転車に乗って競技を再開する。時には血を流しながら、並列して走っている車から医者に怪我の治療してもらいながら走っている姿も見られる。ツール・ド・フランスは、それほど過酷で、技術的にも肉体的にも精神的にも強靭さが求められるレースだ。
しかし、今回のように大規模な事故が起これば、技術や精神力だけではどうすることもできず、大けがをしてリタイアせざるを得ない選手もでてくる。落車がないように最大限の安全策が講じられることは、選手にとって一番重要なことなのでもあるのだ。
■ 主催者側は最終的には被害届を取り下げ
迷惑な行動をするごくわずかな人たちのせいで大会を台無しにしないために、主催者側はプラカードを持っていた女性を訴えた。しかし女性が夫に付き添われて警察に出頭し、罪を認めたため、主催者側は被害届を取り下げた。
ツール・ド・フランスのピエール=イヴ・トゥー副ディレクターによれば、ネット上で暴走している人たちもおり、落ち着かせるためにも被害届を取り下げたという。そして、全ての人々の安全を守るために規則を守ることを再度呼びかけている。
■ 悪い例の一つとして役に立つ
最終的に、主催者側からの被害届が取り下げられたとしても、「自発的ではないが、安全及び慎重さを欠いた行為からくる傷害」として罰が科せられるが、選手のケガが完治するまでの長さによって、今後、償う罪も変ってくる。また、現在、知られているだけでもスペインの選手から被害届が出ているということで、最終的にどのような判断が下されるかを知るのは、まだ先になるだろう。
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