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菅総理の言葉が国民に響かないわけ

Japan In-depth / 2021年8月8日 23時33分

さらに厚生労働省が2日、感染者の多い地域では原則、入院対象は重症患者や重症化リスクの高い人に絞り込み、入院しない人を原則自宅療養とする方針を発表したことで、自治体だけでなく、与党の公明党からも一斉に反発の声が高まった。これは悪手だった。





政府の言わんとすることは分かる。重症患者を優先するのは当然のことだ。ただ、「中等症患者切り捨て」と取られかねない発信は政府としてまずいに決まっている。これまた、国民の不安を煽ることになってしまった。





こうしたミスコミュニケーションはなぜ生まれるのか?





ひとえに菅首相の発信力のなさから来ている。菅首相の会見の問題点は2つに分けられる。日本のマスコミの構造的な問題と、菅首相自身の問題だ。





まず、前者は





①官邸の記者クラブ(内閣記者会)に事前に質問を提出させている。

②質問する社の数を限定している。





事が挙げられる。





会見は主催が内閣記者会なのにもかかわらず、司会は内閣広報官だ。その広報官が幹事社の質問からスタートさせ、後は幹事社以外の日本メディアにフリーランスや外国メディアら、数社を指名して終わるのが通例だ。その際、質問は1つとか、更問い(さらとい:続けて質問すること)は禁止、などの謎のルールがある。なぜ記者会がその条件を飲んでいるのか不思議である。





首相は事前に記者会が提出した質問に対して、官邸スタッフが用意した答えを読み上げるだけだ。紙に書いてあること以外はまず答えない。だから、予定調和感が拭えない。





フリーランスや外国メディアが厳し目の質問をすることがあるが、それも真正面から答えず、幹事社とのやりとりと同じ内容をオウム返しするのが菅首相の常だ。聞いている者にはフラストレーションが溜まる一方だ。









▲写真 首相記者会見に臨む記者たち(2021年4月23日) 出典:Photo by Yuichi Yamazaki/Getty Images





後者は





①プロンプターに映っている回答を淡々と読み上げているだけで、感情がこもっていない。

②記者の質問に真正面から答えない。





事が挙げられる。





菅首相の会見を聞いていて危機感を覚える国民はそう多くはないだろう。メッセージ性が乏しいせいだ。隣にいる尾身会長の言葉の方がよほど力があり、危機感が伝わってくる。





具体的に菅首相はどう発信したら良いのか。





まず





①紙を読むのを止めることだ。今は国家の一大事だ。国民の命と安全が第一なら、官僚の用意した回答などを読むのは止めるべきだ。

②質問には真正面から向き合い、真摯に自分の言葉で答えることだ。それでこそ国民にメッセージが届く。

③会見は質問する社を制限したりせず、できる限り、答えることだ。厳しい質問から逃げたり、はぐらかしてはならない。





長いコロナ禍での自粛で経済的にも精神的にも追い詰められている国民は多い。トンネルの出口が見えない中、我慢我慢と連呼しても効果は無い。緊急事態宣言の延長をこれ以上繰り返すなら、国民は更に言うことを聞かなくなるだろう。





このままいけば医療の逼迫は更に深刻化し、ますます国民を追い詰めることになる。





本当に国民に伝えたいことがあるなら、まず会見の慣習を変え、国民と向き合うことから始めるべきだ。そうしてこそ首相は、国民と危機感を共有できるだろう。





トップ写真:菅首相(2021年7月8日) 出典:Photo by Nicolas Datiche - Pool/Getty Images




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