最初から無理だったアフガン民主化計画
Japan In-depth / 2021年8月19日 0時0分
この点については今週の毎日新聞「政治プレミア」に寄稿したので、お時間があればご一読願いたい。カブール国際空港で離陸しようとする米空軍輸送機の真下の滑走路を並走する無数のアフガン人の姿が今も目に焼き付いている。結果的に彼らを「見捨てる」ことになった米軍人の気持ちは想像を絶するものであったに違いない。
書きたいことはあまりにも多いのだが、今勢いに任せて書けば、冷静かつ客観的な文章にならない可能性がある。米軍、大使館員、アフガン人協力者のカブール脱出は恐らく長期化するだろう。無血入城の後に流血の飛行場は見たくない。アフガニスタンについては来週再び取り上げる。
〇アジア
アフガニスタンのニュースであまり目立たないが、マレーシア首相が国王に内閣総辞職の意向を伝え認められた。新型コロナ感染拡大で連立与党内からも離反の動きがあったというが、マレーシア政治のこれ以上の混迷・不安定化は東南アジア全体の安定と繁栄という観点からも気になるところだ。
〇欧州・ロシア
安保理非常任理事国のノルウェーとエストニアがアフガニスタンに関し緊急会合開催を呼びかけたというが、カブールの事態について国連、特に安保理は無力だろう。中露は米国が中東で困惑することを望んでおり、安保理が効果的な役割を果たそうとすれば、拒否権を行使するからだ。哀れなのはアフガン民衆である。
〇中東
中東ではターリバーンばかり注目されるが、筆者が最も気になるのはパキスタンである。インドとの関係で「戦略的縦深」を維持するにはアフガニスタンが必要だからだ。中国はそのパキスタンを支援し、アフガンでウイグル人「ムジャーヒディーン」の訓練・養成を阻止したいのだろう。アフガンをめぐる新たな戦いは既に始まっているようだ。
〇南北アメリカ
今回のバイデン政権の「大失態」はFOXニュースだけでなく、CNNの有力記者も厳しく批判しており、同記者は珍しく保守系メディアに絶賛されている。但し、既に述べたとおり、批判のための批判は簡単だ。では米軍を未来永劫アフガニスタンに駐留させて勝算があるのかね。そんなものある筈がないのだから。
〇インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは来週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:アフガニスタンカブールからの避難者を乗せ、ウズベキスタンのタシケントに到着したドイツ軍機(2021年8月17日) 出典:Photo by Marc Tessensohn/Bundeswehr via Getty Images
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