60ミリ迫撃砲の有用性 後編
Japan In-depth / 2021年9月5日 15時30分
陸自普通科は諸外国に比べて火力が貧弱である。特に車輌を伴わない前提の水陸両用機動団の小隊レベルでは60ミリ迫撃砲の火力は極めて大きな戦力になるだろう。また同時に上級部隊に頼らずに煙幕の展張、照明弾が使用できる大きなメリットだ。今後は空挺部隊やPKO部隊はもとより、一般の普通科部隊への配備も検討すべきだろう。
ただ課題もある。陸自の普通科は分隊、小隊レベルでは火力が低い。その一因は諸外国では当然のように普及している40mmグレネードランチャーを採用していないことだ。諸外国では分隊レベルに40mmグレネードランチャーを配備している。例えば英陸軍や海兵隊では分隊は8名で、これが4名のインファントリー・ファイア・チーム×2個からなっているが、それぞれにH&K社のAG-36 40mmグレネードランチャーが配備されている。つまり一個小隊で6基のグレネードランチャーが配備されていることになる。
このような低初速の40ミリグレネードの射程は350mである。つまりM6の最低射程よりも短い距離をカバーすることができる。逆に敵との距離が近接した状態ではM6は使用できない。陸自は18年度末から06式てき弾の部隊配備を開始した。これは普通科の手榴弾と81ミリ迫撃砲のギャップを埋める物として、98年度から05年度にかけて技本、ダイキン工業、陸自によって開発された。
だが、諸外国が40ミリグレネードランチャーを採用するのに逆らって、21世紀に既に廃れた小銃擲弾を採用するのは合理的ではない。06式てき弾はかさばり、多くを携行できないし、正確な射撃ができない。しかも榴弾弾種がなく、煙幕弾や照明弾が存在しない。しかも調達コストが高いためか配備はほとんど進んでいない。陸自ではその存在が都市伝説と自虐的に語る隊員も少なくない。
06式の調達を諦め、少なくとも水陸両用機動団などエリート部隊では40ミリのグレネードランチャーを配備すべきだ。実際に陸幕でも6連発型のランチャーを含めて採用に興味を持っているようだ。40ミリグレネードランチャーが配備されれば、分隊、小隊レベルでM6と併せて切れ間無い火力支援が可能となるだろう。
もう一つの問題はM6の弾薬補給だ。M6のシステムは軽量でも継続して砲撃を行うには多くの弾薬が必要だ。弾薬は榴弾だけではなく、照明弾、煙幕弾も必要だ。これらの弾薬を徒歩の普通科が担ぐのは負担が大きい。
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