北朝鮮ミサイル発射のたび語られる「振り向いてほしい論」
Japan In-depth / 2021年9月20日 15時30分
今回の発射について日本政府は強く非難したが、「巡航ミサイルの発射は、失敗だったのでは」との見解も示している。たしかに北朝鮮はこれまで発表していた命中写真を発表していない。
▲写真 北朝鮮のミサイルのファイル画像を見るソウル市民(2021年9月15日 韓国・ソウル駅) 出典:Photo by Chung Sung-Jun / Getty Images
2、またもやテレビを賑わした「振り向いてほしい論」
今回のミサイル発射に関する「報道」では、またもや「振り向いてほしい論」がまことしやかに語られた。「アフガニスタン問題が大きく取り上げられる中で、自分たちにも関心を持ってほしいから」「韓国が潜水艦発射型ミサイル(SLBM)の発射実験成功効果を減殺するため」「9月14日に行われた日米韓高官協議への牽制」「15日に中国の王毅外交担当国務委員兼外交部長が、ソウルで文在寅大統領とチョン・ウィヨン(鄭 義溶)外交部長官と会談する時に合わせた」といったものだが、大手テレビ局やテレビに顔を出す「専門家」は、この「振り向いてほしい論」が大好きなのだ。
しかし、15日に発表された北朝鮮の金与正副部長談話では、そうしたことは語られていない。そこでは「われわれは今、南朝鮮が憶測している通りに誰かを狙い、ある時期を選択して「挑発」するのではなく、わが党大会(8回党大会)の決定貫徹のための国防科学発展および兵器システム開発5カ年計画の初年の重点課題の遂行のための正常的で自衛的な活動を行っているのである」と語っている。
もちろん北朝鮮が語らないから、そうした意図が全くないとは言えない。北朝鮮は自分たちの軍事技術の発展を見せることでそうした政治的目的がおのずと達成できることはよくわかっているからだ。今回国連安保理が招集されたのもそうした効果の証明だ。しかし、「挑発的行為」だからと言って、すぐさま、「振り向いてほしい論」に直行するのはいかがなものか。
北朝鮮がミサイルを発射すれば、すぐさま「振り向いてほしい論」に向かうのは、「北朝鮮分析の貧困」を示す以外のなにものでもない。この点について軍事評論家の黒井文太郎氏もFRIDAY9月18日付で苦言を呈していたが、全く同感である。
トップ写真:北朝鮮のミサイル発射のニュースを見るソウル市民(2021年9月15日 韓国・ソウル) 出典:Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
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