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南シナ海で中国調査船活動活発化

Japan In-depth / 2021年9月21日 19時0分

▲写真 米海軍が保有する原子力空母「カールビンソン」 出典:U.S. Pacific Fleet /flickr





■対中包囲網の中で東南アジア無視





このように南シナ海海域で緊張状態が続く中、「自由で開かれたインド太平洋」を掲げて米主導で創設された日米豪印による戦略対話の枠組み「クアッド」に続いて、9月15日には米英豪による新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」が創設された。









▲写真 「AUKUS」の創設を発表する豪・モリソン首相(画面左)、米・バイデン大統領(中央)、英・ジョンソン首相(画面右) 出典:Win McNamee/Getty Images





この創設に伴い豪は米の協力により原子力潜水艦保有に向けて始動することになり、豪がフランスとの間で合意していた次期潜水艦開発計画を破棄する結果となり、豪仏間の外交問題に発展している。





加えて「AUKUS」が「クアッド」同様にインド洋、太平洋での中国の一方的権益拡大を意識した対中包囲網の意味合いが強いことから南シナ海で中国と直接領有権問題などを抱える東南アジア各国では警戒感や困惑が広がっている。





「クアッド」も「AUKUS」も地域の当事者である東南アジア関係国の関与がなく、その意向を無視する形で進められたことがその一因となっているからだ。





米に加えて豪の原潜が南シナ海はじめ東南アジアの海域を航行するようになることへの警戒心は、地域の安全保障のみならず、今後の対中関係の悪化を含めて東南アジアでは強い関心事となっているのだ。





インドネシアのルトノ・マルスディ外相は17日に早速「我が国はAUKUSを憂慮する。豪は核武装協定を守り、インド太平洋の平和、安全を守る義務を果たすように要請する」との立場を表明したのだった。









▲写真 インドネシア、ルトノ・マルスディ外相 出典:U.S. Department of State/flickr





マレーシアも17日に「AUKUSが南シナ海で他国による攻撃的な行動を挑発するのではないか」と中国への直接の名指しを避けながらも大きな懸念を表した。





■インドネシアの慎重な対応





インドネシア海軍のアルシャド・アブドゥラー少将はメディアに対して「我々はナツナ諸島北方海域で操業する漁民や航行する民間船舶乗組員に対して安全と安心を与えることを目的に活動しており、これまでのところその目的は果たされており、事態はコントロールされている」と述べ、中国側の動きに対して余計な挑発に乗ることなく、自国権益保護のために慎重な対応を続けていることを強調した。





インドネシアは中国との間で領有権に関わる問題は存在しないが、ナツナ諸島北方海域でインドネシアのEEZと中国が一方的に主張する「九段線」の一部が重複している、として中国は2国間協議で平和的に問題解決を図りたい、とかねてから主張している。





これに対しインドネシア政府は国際法的に違法性が高い「九段線」を認めない立場から「中国との間で協議が必要な海洋権益に関する問題は存在しない」との強い立場を示し、2国間協議を拒絶し続けている。





トップ写真:ナツナ諸島で警戒にあたるインドネシア海洋・漁業省の職員 (2016年08月17日) 出典:Ulet Ifansasti/Getty Images




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