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中国、ミャンマー“敵同士”にワクチン提供

Japan In-depth / 2021年9月27日 17時27分

■民間組織によるワクチン提供





こうした中、KIAに対しては今年5月ころという早い時期から中国のワクチン提供が実施され、中国赤十字の他に雲南省当局からの提供もあったという。これはKIA側からの「支援要請」に基づくものとされた。





報道によると少数民族武装勢力へのワクチン提供は中国の民間団体の中国赤十字などが主導となって実施しているため、ミャンマー軍政も表立って中国を批判できない状況という。しかし、中国では民間団体とはいえ当局の意向を無視して活動することは難しく、こうしたワクチン提供も中国当局の意を受けた活動であることは間違いないとみられている。





その後も中国側からのワクチン提供は続いていたが、最近ではワクチンに加えて医療従事者の派遣、マスク・消毒液などの医療用品の提供、さらに一部国境沿い街では検疫所などの医療設備の建設も進んでいるという。





そうした建設現場で働く労働者は少数民族のミャンマー人だが建設資材などは全て中国から搬入されたものであるという。中国人の医療関係者などはミャンマーに越境後は宿泊することなく、日帰りで中国側の戻るといい、コロナ感染を警戒している様子だという。









▲写真 ヤンゴン市内の様子(2020年3月3日) 出典:Photo by Paula Bronstein/Getty Images





■感染流入を危惧する中国





ミャンマー北東部の中国との国境地帯で活動する複数の少数民族武装勢力は歴史的にみて中国との関係が深く、産出する地下資源や宝石、一部麻薬などを中国に輸出して現金を得てそれが武装抵抗の活動資金になるという密接な相互依存態勢が続いている。





少数民族が使用する携帯電話のSIMカードも中国製で、中国の通貨「元」が流通している地域も国境付近には多く、両国の住民らは国境を隔てる河川も比較的自由に往来することができた。





そうした「緩い国境」「密接な経済的関係」から中国がミャンマー国内でのコロナ感染拡大という事態を受けて国境周辺でのコロナ感染に懸念を募らせていたのだ。





■「緩衝地帯」で感染流入防止





中国はミャンマー軍政のコロナ感染防止対策が国境付近の少数民族にまで及んでいないことから、こうした地域でのコロナ蔓延を極端に警戒した結果、少数民族へのワクチン提供を積極的に進めているのは間違いないとみられている。





つまり国境周辺の中国側の住民をコロナ感染から守るために国境のミャンマー側に一種の「バッファーゾーン(緩衝地帯)」を設けることで影響を最小限に食い止めようという思惑が働いているというのだ。





支援するミャンマー軍政と敵対して戦闘を続ける国境の向こう側にいる少数民族武装勢力に対しても自国民保護のためワクチンを提供する、といういかにも中国らしい「したたか」で「計算高い」姿勢が改めて浮き彫りとなっている。中国側は少数民族武装勢力へのワクチンや医療物資提供も「あくまでも人道的見地からの支援」と強調している言葉も「常套句」である。





トップ写真:ミャンマーのヤンゴンにおける反クーデター抗議活動(2021年4月3日) 出典:Photo by Getty Images/Getty Images




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