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河野氏が岸田氏に負けたわけ

Japan In-depth / 2021年10月1日 0時24分

持論とは言え、なぜ、基礎年金問題にこだわったのか。他陣営選対幹部も「何ででしょうね?」と首をかしげていた。そもそも党内に支持が広がっていない政策を前面に打ち出した戦略には正直疑問を感じた。敵失を与えた感は否めない。





二つ目は、「人の話を聞かない」、「短気」、「高圧的」との印象が広まったことだ。





まず、週刊文春が、8月24日の資源エネルギー庁とのオンライン会議での音声を公開した。「エネルギー基本計画」素案についての会議だったが、河野氏の官僚に対する物言いはかなり激しいものだった。パワハラがこれだけ社会問題になっている昨今、一気に20年前に引き戻されたような感覚に陥ったくらいだ。この報道は痛かったと思う。





マスコミ批判もあまりお勧めできない戦略だ。戦略ではなく、「素」だったのかもしれないが。





22日にTBS系「news23」に出演した河野氏は、「飲食店でのお酒の提供の解禁など制限の緩和はいつごろを目指しますか」と問われたのに対し、メディア批判を展開した。質問は「無責任」かつ「科学的な根拠となるデータもなしの議論に疑問」とした上で、メディアに反省を促した。





また、26日のFNN系「日曜報道THE PRIME」で、松山俊行キャスターが決選投票で有利に戦うために、河野陣営が1回目の投票で一部票を高市氏に回して高市氏を2位にしようとする動きがある、と解説したのに対し、河野氏は「するわけないですよそんなこと。冗談よしてくださいよ。ひどいフェイクニュースですよ」と声を上げた。





総裁選で各候補者のメディア露出が増えるにつれ、その人柄、性格がじわじわと世間に広まっていった。





敢えてももう一つ敗因を上げるなら、小石河連合を組んだことだと思う。まず石破茂氏は総裁選の最中、河野氏を応援するような発言をほとんどしなかった。また、小泉進次郎環境大臣は、高市氏のエネルギー政策に対し、「再生可能エネルギー最優先の原則をひっくり返すのであれば、間違いなく全力で戦っていかなければならない」と述べた。しかし、エネルギーの議論は、原発か再エネかの二者択一でないことは明白で、こうした発言は河野氏にとってプラスにはならなかったと思う。





議員票が伸びなかったのはこうした理由が重なり合った結果だと思う。





リーダーに求めら得る資質は「感情をコントロールする力」であると同時に、相手の言うことによく聞く「傾聴力」、そして「巻き込み力」だと思う。





くしくも岸田氏は筆者のインタビューで、「能弁に事を語るが、人の話を10分も聞けない政治家がいる。(中略)政治というのは全員野球だ。人を怒鳴ってばかりではチーム力は出来上がらない」と述べている。









▲写真 総裁に選ばれた岸田文雄氏(2021年9月29日) 出典:Photo by Carl Court/Getty Images





そういう意味で岸田氏が河野氏を上回った、ということだ。派閥の力学だけで単純に説明しきれるものでもない。自民党という政党が、次の政権の政策運営を円滑に進めるためにはどういうリーダーがいいか、現実的に考えた時、選んだのが岸田氏だった。実は意外と人間くさいところで決まっている気がしている。





トップ写真:自民党総裁選決選投票で投票する河野太郎候補(2021年9月29日) 出典:Photo by Carl Court/Getty Images




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