「ロシア疑惑」は捏造だった
Japan In-depth / 2021年10月1日 19時37分
ワシントンの大陪審は9月16日、ワシントンやニューヨークを主要拠点とする大手法律事務所のマイケル・サスマン弁護士を虚偽証言の罪で起訴したことを発表した。
この起訴はトランプ前大統領に対する「ロシア疑惑」の背景について政敵の民主党側の工作を疑った同政権のウイリアム・バー司法長官が2019年5月に捜査を任命したジョン・ダ―ハム特別検察官が同大陪審に提起した結果だった。
アメリカの大陪審は司法当局から任命された一般人の陪審員たちが検察側から示された容疑や証拠を審査して、法律に違反する犯罪行為があったか否かを判断し、刑事訴追の決定を下す権限を与えられている組織である。
その大陪審が公表した起訴状は以下の骨子を述べていた。
・サスマン弁護士は2016年9月、連邦捜査局(FBI)法律顧問のジェームズ・ベーカー氏に会い、ロシアの銀行がトランプ選挙本部と秘密の交信を重ね、アメリカ大統領選挙での投票の不正操作などの共謀工作を進めている、と報告し、その資料をも提供した。
・サスマン弁護士はこの情報提供は一市民の良心からだけだと主張したが、実際は同弁護士が所属するパーキンス・コール法律事務所の仕事として委託され、報酬を受け、実行していた。同事務所は民主党のヒラリー・クリントン選対本部と契約し、対抗するトランプ陣営の弱点などを調べる政敵調査を委託していた。
・サスマン弁護士が提供したロシア政府機関とトランプ陣営の「秘密協力の情報」も同陣営とされた組織は実はトランプ関連企業に物資を調達するだけの外部機関で情報自体が虚偽だった。同弁護士はこの虚偽情報を大手メディアに事実として伝え、報道させることに成功した。その間のすべての活動はクリントン選対への提供業務として代金支払いを受けていた。
以上の起訴状では実名の出なかったロシア側銀行は実はアルファ銀行であり、虚偽情報を報道したアメリカの大手メディアはニューヨーク・タイムズなどだったことがダ―ハム特別検察官周辺からその後、明らかにされた。
パーキンス・コール事務所はトランプ氏へのロシア疑惑のもう一つの原因となった「スティール文書」の作成にも資金を出すなど関与していた。クリストファー・スティールというイギリス政府機関の元諜報部員が作成した同文書はトランプ氏とロシアの結びつきを述べていたが、その内容のほとんどは虚偽だと証明された。
同法律事務所もサスマン弁護士も政治的には長年、民主党支持の立場を明確にしており、2016年の大統領選でも当初からクリントン選対の法律、政治関連業務を全面的に請け負っていた。
ダーハム特別検察官は任命以来、2年余りの間に政権が交替したが、なお捜査を続ける方針を宣言している。
今回の起訴状の内容から判断する限り、「ロシア疑惑」は2016年の大統領選挙戦で民主党候補のヒラリー・クリントン陣営が政敵のトランプ候補の不利にするために捏造した虚偽情報だった、ということになる。
ダ―ハム特別検察官はなおサスマン容疑者の犯行に関与した他の関係機関や人物の役割にも多数、言及しており、捜査のこんごの拡大が予測される。
トップ写真:トランプ前大統領(2019年4月18日) 出典:Photo by Joe Raedle/Getty Images
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