豪仏「潜水艦計画破棄」の影響
Japan In-depth / 2021年10月2日 19時0分
フランスの造船企業ナバルグループ
オーストラリア元外相ギャレス・エバンズ氏によれば、フランスの製造の進行状況はかなり前から問題があったとしている。コストも激増し、納期は守られず、国内雇用創出もされず、そのためエバンズ氏にとっては、先に約束を破ったのはフランスであると認識しているが、フランスの造船企業ナバルグループによれば見解が違うようだ。
予算は確かに大幅に膨らんだ。2016年に開始されたときにオーストラリアによって500億オーストラリアドル(310億ユーロ)と評価されたが、その後、890億オーストラリアドル(560億ユーロ)に再評価されたのだ。
しかしこれは、契約期間全体にわたるインフレを考慮に入れたため増加したものであり、ナバルグループに入る金額は変わっていないという。また、9か月の遅れが生じていたが、それはすでに解消しているものもあり、今後、遅れを取り戻していく予定だったというのである。
ナバルグループのピエール・エリック・ポムレ最高経営責任者(CEO)は、「オーストラリアは自己都合で契約を解除したが、これはわが社に責任がないことを意味する」と説明し、オーストラリアには、インフラやIT設備の解体、従業員の再配置などに関連して発生する費用などの請求書を、数週間以内に送ると述べた。その上、「われわれは権利を主張していく」と続けた。
未だにフランス、オーストラリアは対話を持っていない
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、この件に関して、22日にはアメリカに、24日には英国と電話による会談を行った。しかし、実はいまだにオーストラリアとの話し合いが行われてはいない。アメリカと会談した同週にオーストラリアのモリソン首相からマクロン大統領に接触しようと試みているが、失敗に終わったのだ。
政府関係者によればオーストラリアとの対話は計画されているが、非常に厳しいやり方を準備することになるだろうとしており、マクロン大統領も「オーストラリアは正しく行動をしなかった」とコメントしている。
別件で注目を浴びているサルコジ元大統領がインタビューを受けた際に、マクロン大統領の行動について聞かれていたが、行動は間違っていないとし、「友達の間でこういうことはあり得ない。許されないことだ」と述べた。29日に行われた元老院(上院に相当)国際問題委員会の会議においても、戦略などや契約の変更などは当然のことだが、そのやり方に問題があることは、ほぼここにいる人全員の一致した意見といえるだろうとしている。フランス的には、事前になんの連絡もなく破棄したことについて、大多数が大きな問題としているといえる。
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