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ペルー左翼政権、早くも大ピンチ 議会と対立激化

Japan In-depth / 2021年10月31日 11時0分

カスティジョ大統領にとってもう一つの痛手は、PL党首のセロン元フニン州知事との党内主導権争いである。もともとは地方農村の小学校教師で教職員労組出身のカスティジョ氏と、マルクス・レーニン主義の厳格な信奉者であるセロン党首とは「根本的な政治思想や理念が異なる」(ペルーの左派系新聞「レプブリカ」)との声も聞かれる。党首のセロン氏が知事時代の職権乱用などにより禁固刑判決を受けたため、今年の大統領選に立候補できず、その代わりにカスティジョ氏が出馬したという経緯もあり、党内の政治的影響力はバランス氏に傾いているとの見方が現地メディアでは専ら。先に辞任したベリド前首相やベハール外相の任命人事に関してもセロン党首が強引に推し進めたとの説が有力だ。カスティジョ大統領が経済相に起用したエコノミストについてもセロン党首は「新自由主義者が人民のための政策を作成できるはずがない」と公然と批判する。さらに深刻なのは、バスケス新内閣をめぐる意見対立の表面化。大統領が任命したバスケス首相らの閣僚人事に関しセロン党首は「政権が中道右派に転向した」とし、不支持の姿勢を表明した。一方、大統領に近い元教師出身のPL国会議員らのグループはセロン党首に反発し、新たな政党設立に向けた動きを見せている。









▲写真 ウラジミールセロン氏 出典:セロン氏FaceBook





■内閣信任投票で過半数の賛成確保がカギ





こうした中、まもなく議会ではバスケス内閣に対する信任投票が行われる。当初は10月25日に予定されていたが、PL議員の一人が心臓病で急死したのを受け延期され、今のところ11月4日に実施される見通しだ。最大の焦点は内閣信任に必要な議会の過半数の賛成が得られるか否かである。定数130の議会で与党PLは37議席を保有していたが議員の急死により、1議席減り36議席しかない。PLに同調する中道左派の2つの政党と合わせても、バスケス内閣信任への賛成票は45議席程度で過半数には届かない。セロン党首は新内閣不支持を表明しつつも、「野党にはならない」と語っているため、信任投票では最終的には賛成票を投じると予想されるが、予断は許さない。一方、ケイコ氏の中道右派政党FPの24議席に加え、右派陣営は極右も含め70議席を優に上回っている。カスティジョ大統領としては信任投票までに何とかPL党内を一本にまとめた上、他の左派政党の協力を確保し、中道右派政党の切り崩しを図らねばならない。「今度の内閣信任投票の結果いかんではカスティジョ政権の存続が危うくなる」(前述のペルー・カトリカ大政治学者)との見解は十分説得力がある。ペルー政局は重大な局面を迎えようとしていると言ってもいいだろう。(了)





トップ写真:カスティジョ大統領:2021年10月25日:ペルー、バグア・グランデ 出典:Gob.pe




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