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失敗に終わった野党共闘 敵失で与党笑う

Japan In-depth / 2021年11月1日 19時32分

▲写真 選挙演説する吉村洋文大阪府知事(2021年10月19日) 出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images





そして、自民党だ。議席が思ったほど減らなくて良かった、などと喜んでいる場合ではない。甘利明幹事長が小選挙区で落選し、岸田首相に進退伺いを出す事態になっている。そもそも「政治とカネ」の問題を抱える甘利氏を重要ポストに据える岸田首相の人事センスのなさが残念だ。今回、勝った勝ったと喜んでいる場合ではない。









▲写真 衆院選勝利で満面の笑みの岸田首相(2021年10月31日) 出典:Photo by Behrouz Mehri - Pool/Getty Images





新内閣はすぐさま新型コロナ対策に着手せねばならない。岸田首相のキャッチフレーズ「成長と分配」。聞こえは良いが、具体的にどうするのか、見えてこない。まずは「給付金」から着手することになるのだろうが、それは真の「分配」とはほど遠い、単なるばらまきに過ぎない。





失われた30年、成長の種子をまいてこなかったツケが今来ているのは明白だ。それをどう変えようというのか。「新自由主義からの脱却」とはどのような経済システムを指すのか、説明してもらいたい。まさか、高額所得者から税を取るだけではあるまい。





新型コロナの第6波が来ないとは限らない。今は嵐の前の静けさなのかもしれない。感染者が激減している理由の分析がない、との指摘も出ている。国産ワクチン、特効薬の開発状況、ブースター接種のタイミングなど、国民に丁寧に説明すべきだろう。選挙に浮かれている間、そうした発信は政府から全く無かった。





また、北朝鮮はミサイルをひっきりなしに発射し、中国の尖閣諸島海域領海侵犯も激しくなっている。台湾情勢も波高しだ。外交・安保問題で岸田首相がどのような成果を出せるかも全く未知数だ。できるだけ早い内に訪米して首脳会談をと、はやっているが、何を話すかが問題だろう。





そして筆者が心配しているのがエネルギー問題だ。菅前首相が残していった負の遺産、「2030年に温室効果ガス排出量、46%削減(2013年比)」。原発の再稼働だけではとうてい実現できないであろう、この目標をあと9年でどう実現するというのか。総裁選前から、岸田氏は、原発の「リプレースと新増設」には消極的だった。こともあろうか、河野前規制改革相らが反対してその記載が消えた「エネルギー基本計画(素案)」を10月22日にそのまま閣議決定してしまった。





再エネを増やすことに異論はないが、それに伴うコスト負担が国民と産業界に重くのしかかってくるのは明らかだ。それを国民に説明しないで、理想論を振りかざすだけなら政治家は要らない。難しい問題から顔を背けるような政治を求めて有権者は与党に票を入れたなのではないはずだ。





今回の選挙の結果を厳粛に受け止め、日本が直面している「国難」にどう対峙するか、有権者は直視している。今回得た「信任」はあくまで時限的なものなのだ。





トップ写真:衆院選の当選候補の名前にバラをつける岸田首相ら党幹部(2021年10月31日) 出典:Photo by Behrouz Mehri - Pool/Getty Images




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