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英仏、漁業権対立の行方混沌

Japan In-depth / 2021年11月2日 23時32分

だが、単純にEU離脱して、EUに輸出するのに関税がかかるようになれば反対に英国の漁業に大きな打撃を与えることになる。そこで交渉が始まったが、その交渉自体も最後の最後までもめにもめた。それでも、なんとか2020年12月にようやく話がまとまったのである。





この合意にいたった時点では、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「公平でバランスが取れた合意」と述べ、また、ボリス・ジョンソン英首相は官邸で記者会見し、「自分の海域について決定権をもつ独立した沿岸国になった。」と発表しており、EUと英国間で交わされた貿易協定は、お互いが十分に納得している内容にも思われた。





しかし、この協定に含まれているにもかかわらず、英国に申請した多くの漁船の操業許可が下りないのだ。マクロン大統領が「10カ月も話し合ったのに、その規則を英国が守らない」といっているのはこのことである。





■ フランスは、約束が守られていないと主張





フランスのマクロン大統領は、英側が多くのフランスの漁船の操業を認めないのはEUとの間の貿易協定に違反すると訴え、「英国の信用の問題だ」と非難した。フランスによれば、許可されたのは50%のみだという。具体的件数で言えば、210件は認められたが、残り244件は認められていないというのだ。





これは、フランスだけにとどまらず、ベルギー、オランダ、デンマークなどの他のEU国でも起こっていることで、フランスと英国の問題ではなく、EUと英国の問題だと断言する。そして許可書をださないならば、制裁として、英海産物のフランスでの荷揚げの拒否や、英商品の通関手続きの厳格化も始める方針とした。





■ 英国は、協定に沿って行っていると主張





しかし、英国のジョンソン首相は30日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で訪問中のローマで、EUのフォンデアライエン欧州委員長と会談し、「フランス側のこのような脅しは完全に不当だ」と訴えた。英国は、「EU船舶の申請の98%を承認している」と強調したのだ。





■ 平行線をたどる両者の主張





明らかに、フランス側と英国側の主張が異なっている。そんな中、31日にはジョンソン氏とフランスのマクロン大統領が約30分間会談が行われたが、この会談でも、解決には至らなかった。





会談後、フランス当局は、争いを終わらせるために「今後数日」のうちに「実際的な措置」に取り組むと述べていたため解決したのかと思いきや、なんと、ジョンソン氏の広報官はこうした合意を否定し「まずフランスが(対抗措置の取り下げに)動くべきだ」と発表したのだ。このことは、さらにフランス側からの怒りを買った。





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