中国共産党100年史とアメリカ その1 米中はやはり最大の敵同士か
Japan In-depth / 2021年11月9日 22時0分
トランプ前政権からバイデン現政権にかけて、米中対立は鮮明となった。中国がアメリカ主導の戦後の国際秩序を覆すかのようにアメリカにチャレンジする構図も明確である。
▲写真 ホワイトハウスで記者会見をするバイデン大統領(2021年11月6日) 出典:Photo by Samuel Corum/Getty Images
新型コロナウイルスをめぐるアメリカ側の中国の隠蔽への糾弾、そして責任の追及はあまりにも露わな米中衝突の実例といえよう。
アメリカは中国の南シナ海での軍事力による領土拡張や台湾への軍事威嚇をも非難する。中国のウイグル人、チベット人、そして香港市民への人権弾圧をも糾弾する。経済面では不公正で略奪的な貿易慣行、知的所有権の収奪を批判する。
アメリカのこうした中国への攻勢の基盤には基本的な価値観の相違が厳然と広がる。
民主主義、人権尊重、法の支配という基本理念が中国共産党政権には欠けるという指摘である。
だが中国共産党側にとっても、その拠って立つ共産主義、一党独裁の思想理念からすれば、アメリカの価値観は悪となる。この点はバイデン政権の「米中対立は民主主義と専制主義との衝突である」という主張でも特徴づけられる。
だから中国共産党政権にとってアメリカは自己の存在そのものを否定されかねない天敵だともいえよう。
現実に中国共産党がやがてはアメリカに勝る総合国力を築き、世界に覇権を発揮する野望を抱いていることも明白となってきた。
最近の習近平国家主席の「中国的社会主義によるグローバルな指導権を目指す」という言明もアメリカ打倒の意思と解釈してもよいだろう。
アメリカ側でも歴代政権の国防長官顧問を務めた中国研究の権威マイケル・ピルズベリー氏のように「中国共産党は中華人民共和国建国100年の2049年を目標にアメリカを凌駕することを一貫して意図してきた」という見解が広範となった。
要するに中国共産党とアメリカとの関係といえば、現状は激突であり、こんごの展望も激しい対立や競合なのである。
(その2につづく。全5回)
**この記事は日本戦略研究フォーラム季報2021年10月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ写真:中国共産党、結党100周年を祝う様子(2021年7月1日、中国・北京にて) 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images
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