中国共産党100年史とアメリカ その2 米側知識人が共産党を助けた
Japan In-depth / 2021年11月10日 11時0分
1931年に出版された『大地』は全世界でのベストセラーとなり、ノーベル文学賞まで受けた。その結果、国際社会に中国共産党の拠って立つ背景を前向きに伝える効果を生んだといえる。
同じアメリカ人女性のジャーナリスト、アグネス・スメドレーは政治活動家としても中国共産党の影響力拡大に顕著に寄与した。
1930年代からの共産党と国民党の内戦や日本軍との戦いの報道にあたったスメドレーは共産党八路軍への密着取材でも国際的に注視される迫真のレポートで高い声価を得た。
彼女自身も明らかに共産主義思想に共鳴し、毛沢東らの個人的な信頼を得て、共産革命の「大義」をもきわめて効果的に宣伝した。
スメドレーは上海でソ連共産党スパイのリヒャルト・ゾルゲやその仲間の尾崎秀美らとも交流があったという。
彼女は第二次大戦後のソ連側の記録でソ連共産党の国際共産主義運動指導組織コミンテルンの宣伝工作の協力者だったことも判明した。そのコミンテルンが支援した中国共産党にとっては当然、貴重なアメリカ人協力者だったわけだ。
アメリカ人の歴史学者ジョン・K・フェアバンクも中国共産党に友好的な光をあて、アメリカの中国研究学界に大きな影響を残した。
ハーバード大学を卒業した彼は1932年に北京に渡り、清華大学で学ぶ。中国の歴史や政治を本格的に研究した。その後、ハーバード大学で中国の歴史を教え、アメリカの中国研究の指導的立場に就いた。
その間、フェアバンクは中国についての著書も多数、刊行した。とくに『アメリカと中国』という書は米中両国の指導者の間でも必読書とされた。
フェアバンクは一貫して中国共産党への協調的なスタンスをとり、戦後のアメリカ政権が国民党政権を支持するのに対して共産党支持を訴えた。中国共産党にとってはやはり貴重な友好的学者だったといえる。
(その3に続く。その1。全5回)
**この記事は日本戦略研究フォーラム季報2021年10月号に掲載された古森義久氏の論文の転載です。
トップ画像:中国共産党の1周年記念パレードの様子 出典:Photo by PhotoQuest/Getty Images
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