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南シナ海で中国艦艇、比輸送船に放水

Japan In-depth / 2021年11月19日 18時0分

これに対して中国外務省の趙立堅報道官は18日に記者会見で「フィリピンの船舶2隻が中国の同意を得ずに南沙諸島に侵入した。中国はこれに対して主権と海洋秩序を守るために法に基づいて公務を執行した」と反論した。さらに趙報道官は「現在アユンギン礁周辺海域はおおむね平穏であり、中国とフィリピンの意思疎通は維持されている」と述べて問題の早期の鎮静化とあくまで2国間で解決するべきとの姿勢を改めて強調した。





■ 過去にも中国の妨害





アユンギン礁を巡っては1999年のフィリピン海兵隊の座礁船による拠点化以降、これまでも中国はたびたび補給のための輸送船を妨害する行為を行っている。





2014年3月に続き2015年3月に起きた妨害行為ではアユンギン礁に食料品などを補給するフィリピン海軍の艦艇に民放テレビ局のクルーが同行していたため、中国海警局の大型船舶が執拗にフィリピン海軍艦艇を追尾する様子が撮影、公開された。このため「反中国」の世論がフィリピン国内で一気に高まる事態となった。





また、今年3月頃からは南沙諸島のパグアサ島周辺海域やユニオンバンクと呼ばれる冠状サンゴ礁周辺に中国の漁船200隻以上が停泊していることが確認され、漁船には海上民兵とみられる要員が乗り込み既得権主張を繰り返す行動がみられた。





こうした大量の漁船は停泊しながら汚水や排水を海上に垂れ流している状況も環境団体などから指摘され、フィリピン政府が抗議する事態となった。





中国側は漁船が海上の天候回復を待っているだけと説明したものの、一向に移動しないことからロクシン外相はツイッターで「中国、わが友よどうすれば礼儀正しく表現できるだろうか」とした後に英語で4文字の禁句に続けて「とっとと消え失せろ」と苛立ちを露わにしたこともある。





■ 米とその同盟国による航行の自由作戦





南シナ海を巡っては台湾への中国軍戦闘機の接近、領空侵犯などにより緊張状態が高まる中、米英豪などの海軍艦艇が中国の一方的な海洋権益を認めない立場から南シナ海での「航行の自由作戦」を続けており、依然として「波高し」の状況となっている。





東南アジア諸国連合(ASEAN)ではフィリピン以外にもベトナム、ブルネイ、マレーシアが中国との間で南シナ海の島嶼を巡る領有権問題を抱え、インドネシアは南シナ海南端にある自国領土ナツナ諸島の北方海域でインドネシアのEEZと中国権益圏が重複していると中国が一方的にクレームをつけるなど各国は南シナ海を巡る対中外交で課題を抱えている。





フィリピンは特に親中国と指摘される現在のドゥテルテ大統領が2022年5月の大統領選に出馬できないことから、中国に強い姿勢を示す野党候補などによる政権交代を賭けた選挙戦に年明けから本格的に入る。





このため中国としての今後誕生する新政権に揺さぶりをかける狙いもあり、様々な動きを今後も活発化させるとの見方が強まっている。





トップ写真:フィリピン海域への継続的な中国の領海侵犯に対する抗議デモに参加する漁師ら(フィリピン・マニラ、中国大使館前 2021年6月12日)出典:Photo by Ezra Acayan/Getty Images




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