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激しさ増す中国の振る舞いと言動 神経尖らせるASEAN、台湾

Japan In-depth / 2021年11月22日 19時29分

▲画像 南シナ海の様子 出典:Photo by An Rong Xu/Getty Images





ただ、ASEAN各国の経済規模は国内総生産が最も大きなインドネシアで中国の9%しかなく、フィリピンやベトナムなどは5%以下だ。また軍事支出をみても最大のシンガポールで中国の4%、フィリピン、ベトナムなどは2%程度で、逆に中国への輸出入など経済依存度は15%程度と極めて大きく、中国なしでは生きてゆけないのが実情だ。ASEAN各国は近年急速に豊かになっているが、経済はどこも中国の投資と貿易に依存しているところが多く、“中国あってのASEAN”なのである。





しかし多くのASEAN各国や日本、アメリカ、豪州、インドなどは、最近の中国の強権、拡張主義に警戒感を強め、特に中国が南太平洋で外交攻勢を強めていることに神経を尖らせている。19年に入り中国はキリバス、ソロモン諸島と国交を樹立し台湾との関係を断絶させているし、すでにバヌアツ、フィジー、トンガ、パプアニューギニアなどと国交を結び援助攻勢を強めている。一国二制度は元はといえば中国が台湾を統一するために考えた制度といわれるが、中国が年々インド、太平洋で支配力を強めており、南太平洋で台湾を外交承認する国はパラオ、マーシャル諸島など15ヵ国にまで減ってしまっている。





気になるのは、習近平政権になってから中国の振る舞いが傍若無人となり、言動も激しさと横柄さが目立ってきている事だ。今年7月の結党100周年の祝賀式典で習近平主席は「我々をいじめ、服従させ奴隷にしようとする外国勢力を決して許さない。妄想した者は14億の人民が血と肉で築いた鋼の長城にぶつかり血を流すことになる」と強い表現でアメリカなどの外圧に立ち向かう姿勢を宣言。





台湾問題や人権問題批判などについても「教師づらをした偉そうな説教は受け入れない」と言い切り、「台湾の統一は歴史的任務だ。中国を専制主義と批判する国もあるが、党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴で最大の優位だ。列強による侵略や抗日戦争に打ち勝ち世界第二位の経済大国に発展してきたのは共産党があったからで、共産党がなければ新中国もなく、中華民族の偉大な復興もなかった」と強調した。





また北京に新設された「中国共産党歴史展覧館」の展示では習近平の功績に関する展示が目立ち、鄧小平、江沢民など過去の指導者をひとくくりにした上で、習近平氏から「新時代が始まった歴史区分」としているのである。習近平主席は“中国の夢”を実現する新たな闘いを社会主義的なやり方で貫こうとしているようにみえる。習近平氏がここまで強気に主張する背景は習氏の個人的資質から来ているものなのか、また「台湾の統一は歴史的任務だ」と強く言い切る裏には、10年前後以内に統一への行動を起こすことを示唆したものなのか――最近の習主席の言動は、今後の中国の行動に波乱をもたらす気配を感じさせる。米国が弱体化してきた今こそ中国が世界の覇権を握る好機と見ているのだろうか。





しかし中国は、習近平時代に“中国の夢”を実現し新時代を築いて来たと主張しているが、一方で高齢化や社会保障を巡る中国の新たな矛盾も表面化しつつあり、中国の将来がこのまま決して安泰に推移するとは言えなくなっている問題点が出現しつつあることも気にし始めている。





トップ画像:大スクリーンに映る習近平氏 出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images




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