強硬プーチン大統領が「1997年5月27日」にこだわるワケ
Japan In-depth / 2021年12月22日 19時11分
「Russia and all states that were NATO members by May 27, 1997, vow not to deploy their military forces and weaponry on the territory of any of the other European states beyond those deployed by May 27, 1997.」
正直言って、ロシアがここまで図々しく要求してくるとは思わなかった。結構驚くべき内容だが、なぜ1997年5月27日なのだろうか。調べてみたら、その日にはイェリツィン大統領時代のロシアとNATO間で「NATO・ロシア基本文書」が署名されている。なぜロシアはこの「基本条約」をわざわざ持ち出してきたのか。
▲写真 「NATO・ロシア基本文書」の調印式で、イェリツィン大統領の話しを聞くクリントン米大統領とシラク仏大統領。1997年5月27日 仏エリゼ宮にて。 出典:Photo by © Wally McNamee/CORBIS/Corbis via Getty Images
専門家の間では意見が分かれているようだ。その道の専門家たち何人かから聞いてみたが、日本の専門家の中でも、基本条約はロシアがNATO東方拡大に同意したというより、中東欧に核配備がされていない現状の「凍結」を宣言したものとみるべきだ、とする向きもあるという。なるほどね、そういう見方も成り立つかもしれない。
しかし、筆者の見立てによれば、この条約は「NATO側はNATO新加盟国の領土に核兵器や常駐部隊を配備しないと約束したのに対し、ロシア側はNATOの『東方拡大』を事実上黙認せざるを得なかった」国際合意だったと考えている。NATO東方拡大を忌み嫌うプーチン大統領にとっては屈辱的な合意だ。
一方、ロシア側は、この「基本条約」でNATOが「核政策を変更しない」「ロシアに対し敵対的行動はとらない」ことなどを約束させたと思っていた。しかし、その後のNATO側の動きはこの条約に反しているので、今回は1997年に戻ることを提案したのだろう。状況はかなり深刻だが、続きは政治プレミアをご一読いただきたい。
〇アジア
香港立法会選挙の結果は、市民の直接投票にもかかわらず当選者20人は親中派一色となったという。認定された「愛国者」しか立候補できないので、投票率も過去最低の30.2%となった。昨年まで我々が見聞きした香港の民主主義は「幻想」だったのか、短命に終わってしまうのか。胸が痛む。
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