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台湾「公民投票」不発、蔡政権安堵

Japan In-depth / 2021年12月26日 23時0分

第4の事案(潘忠政提出)は、中国石油第3液化天然ガス(LNG)基地(桃園藻類サンゴ礁海域)を建設に反対する内容だった。





同藻類サンゴ礁海域を守る事は大切だが、一方、台湾のどこかにLNG基地を設置する事も必要だろう。





仮に、これらの事案が可決されれば、「公民投票法」(第30条)に基づき、関連法および自治規則が見直され、発表日(12月24日)から3日目で、元の関連法と自治規則が無効になる。





そして、行政院(内閣)・直轄市政府・県市政府が3ヶ月以内に関連法案・自治条例を作成する。それらを立法院や議会に送り、次期会期の休会前には、必ず審議を終えなければならない。





ただし、問題は「公民投票法」に政府および行政機関の“事案不履行”に関する規定がない。つまり、罰則がないので、政府や行政機関は、公民投票で示された民意に対する“事案不履行”も可能である。





ところで、公民投票の直前、一部の世論調査では、事案に賛成する人が反対する人より上回っていた。そこで、もしかしたら、(全部ではないにせよ)一部事案が通過するのではないかと囁かれた。





結局、公民投票では、4事案すべてが否決されている。第1関門である495万6367票の賛成が得られなかった。同時に、反対が賛成を上回っている。





第1事案は、賛成が380万4755票、反対が426万2451票。





第2事案は、賛成が393万6554票、反対が413万1203票。





第3事案は、賛成が395万1882票、反対が412万0038票。





第4事案は、賛成が390万1171票、反対が416万3464票。





投票率は、第3事案の41.08%以外は41.09%だった。今回、選挙ではないので、かなり高い数字だと考えられよう(ちなみに、翌19日に行われた香港立法会選挙では、投票率が30.2%だった)。





今度の公民投票実施は国民党の政治的思惑が大きかったと思われる。しかし、投票率が伸び悩み、国民党による蔡英文政権への揺さぶりは不発に終わった。





国民党の朱立倫主席は、今度の公民投票で敗北したので、今後、党内から突き上げが厳しくなるだろう。第2事案を提出した林為洲・国民党副秘書長は、事案が通過しなかったので、早速、責任を取って副秘書長を辞任している。









▲写真 大統領選挙に立候補した国民党朱立倫主席(2016年1月15日) 出典:Photo by Ulet Ifansasti/Getty Images





一方、蔡英文政権は、結果に安堵しているのではないか。もし、事案が1つでも通過すれば、蔡総統の求心力に陰りが生じるところだった。





それに、今回、僅差だったとはいえ、4議案で反対が賛成を上回ったという点は刮目すべきだろう。民進党政権に対する有権者の支持が得られたと考えられる。





今度の公民投票は、民進党にとってベストの結果に終わった。これで、2022年実施予定の統一地方選挙にはずみがついたのではないだろうか。他方、国民党は敗北の“戦犯”探しで党内がざわついている。これでは、同選挙に悪影響を及ぼす恐れがあるだろう。





トップ写真:台湾シリーズ第1試合(中信ブラザーズvs統一ライオンズ戦)開始前、台湾プロ野球リーグコミッショナーとポーズを取る蔡英文総統 2021年11月27日 出典:Photo by Gene Wang/Getty Images




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