アメリカの日本研究者はいま その3 日本を知らない日本叩き
Japan In-depth / 2022年1月11日 21時0分
カトラー氏はとにかく自分の異様な日本観に合わない日本側の人物には右翼、軍国主義者、歴史修正主義者といったレッテルを貼るのだ。
このカトラー氏といつも手を組んできたのが前述のダデン氏だった。
ダデン氏は朝鮮半島や日本の歴史を専門に研究してきた女性歴史学者である。日韓の歴史認識問題では一貫して日本糾弾を鮮明にしてきた。
なにしろ博士論文が「日本の謝罪テクニック」という題で、日本の戦争関連の謝罪はすべてテクニックに過ぎないという主張なのだ。ダデン氏は2000年の「女性国際戦犯裁判」でも主宰者の1人となり、昭和天皇を有罪とする「判決」を出した。
その一方、ダデン氏は韓国政府には頻繁に助言を与え、2015年には韓国民間機関から「安倍首相の歴史歪曲にノーを告げた」との理由で「平和大賞」を受けたほどだった。
ダデン、カトラー両氏は2007年のアメリカ議会下院の慰安婦問題に関する日本政府非難の決議でも、有力な推進役だった。慰安婦問題では「性的奴隷」「日本軍による強制連行」「20万人が犠牲」など朝日新聞の誤報と歩調を合わせる形の日本叩きを続けてきたのだ。
この両氏はとくに安倍晋三氏に対して首相在任中も在野時代も「軍国主義者」とか「裸の王様」「ゴロツキ」など、口汚い言葉を浴びせ、日米関係にも「危険な人物」として攻撃してきた。
そしてクレモンス氏も含めてのこの3人はジャパン・フォーラムなどで私を「安倍氏の陰の顧問で、同氏にすぐ密告する」などとも主張していた。これまたまったくのデマである。
私はこうしたジャパン・フォーラムの理不尽なあり方に対してワシントン・ポストにとったような直接の反論や否定の主張はあえてしなかった。アメリカ側でしか読まれない、しかも日本のあり方に占領軍のような傲慢な姿勢でああせよ、こうせよと叫ぶ米側のデマゴーグのような連中と彼らの土俵で英語でやり取りをしても不毛だと判断したからだ。
そのかわりにカトラー、ダデン、クレモンス氏らの私への攻撃、さらには日本の多数派への攻撃はその実態を日本側に日本のメディアを通して伝えることとした。だから産経新聞だけでなく、多数の雑誌やネット論壇でも、これら反日アメリカ人たちの語録を報じ、その虚構性を指摘した。何度も報道してきた。
その効果はかなりあったと思う。カトラー氏らは日本語は読めなくても、日本での動きにはある程度の注意を払っており、日本のメディアの報道内容は翻訳、あるいは伝聞で伝わっていることが多いからだ。この人たちの反日傾向は日本側にかなり伝わったと思う。だから日本側の多数派は彼女たちには警戒するだろう。
その証拠にワシントンの研究機関の集会などでカトラー氏と偶然、顔を合わせると、自分のことを日本のメディアにネガティブに書いたのはけしからんと抗議されたことが一度ならずあった。
(その4につづく。その1、その2。全4回)
**この記事は月刊雑誌『正論』2022年1月号に掲載された古森義久氏の論文「日本叩きサイトが存続した理由と末路」の転載です。
トップ写真:改元にあたり記者会見する安倍晋三首相(当時)(2019年4月1日 首相官邸) 出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images
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