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新しい年の日本の国難、そして皇室 その1 皇室のあり方を考える

Japan In-depth / 2022年1月13日 18時0分

皇室のあるべき姿は多様な形で日本の国民や国家のあり方にも影響を及ぼす。


皇室が日本国民の精神の柱だとする考え方もあるほどなのだ。2021年末の時点でのこの皇室と日本国民について私なりの思考を述べてみたい。


私は所謂、皇室問題の専門家ではない。皇室についてはごく平均的な日本国民の知識、認識を越える水準にはない。だがその反面、いまの日本の皇室のあり方を決めた占領米軍の当時の方針については知見を持つと言える。占領米軍を代表して日本の皇室のあり方を決める文書を作成した当事者から直接に当時の見解や政策を聞いたからである。


この直接体験を持つ日本国民はもうきわめて数が少ないだろう。そうした立場から皇室への思考を述べてみたい。


皇室に関する日本国民の新たといえる対応が2021年に大きく広がったのは、言うまでもなく、秋篠宮家の眞子さんの小室圭氏との結婚だった。この結婚の異様な特徴については敢えてここで述べる必要はないだろう。



写真)眞子さんと小室圭氏の結婚記者会見(2021年10月26日 都内)
出典)Photo by Nicolas Datiche - Pool/Getty Images


この出来事が総括として日本国民の多くに提起したのは皇室とは何なのか、という懐疑、疑問だと言えよう。今までの皇室には考えられなかったような現象が多々、表面に出たからだ。


しかしこの皇室への疑問は5年前にも提起されていた。平成時代の天皇陛下が2015年に自らの譲位を求められたからだった。この動きは憲法と皇室典範で明確に規定された「天皇の世襲」の前提となる終身在位から逸脱していた。しかも天皇ご本人がテレビでまずその個人の意思を表明されるという未曽有の展開だった。



写真)退位礼当日賢所大前の儀に臨まれる天皇陛下(現・上皇陛下)。平成31年(2019年)4月30日 皇居。
出典)Photo by Handout/Imperial Household Agency of Japan via Getty Images


今回の眞子さんの実例にもこの「譲位」との共通点がある。それは皇族ご自身による世襲的な地位から外に出たいという意思の表明だと言えよう。こうした皇族個人の意思が自由に表明され、自由な行動に繋がるという事例が頻繁に起きれば、当然ながら皇室全体のあり方が大きく変わってくる。


(その2につづく。全5回)


・この記事は日本戦略研究フォーラム2022年1月号に載った古森義久氏の論文「新しい年の日本の国難、そして皇室」の転載です。


トップ写真)新年一般参賀で集まった人々に手を振る皇族方(2020年1月2日 皇居)
出典)Photo by Carl Court/Getty Images

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