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拍手禁止は「議会の掟」? 富山県高岡市カラス問題 その4

Japan In-depth / 2022年1月15日 18時44分

その部長は、2010年度から公園内にカラス檻(おり)を設置し、捕獲を行っているとした上で、「当面は、捕獲対策に注力したい」と指摘。さらに、「今後、より効果的なカラス対策を講じていく上で、生息数の把握が必要になる場合には、調査の実施を検討してまいりたい」と答えたのです。


私からすれば生息数調査を「やるか」、「やらないか」を答えてほしかったのですが、官僚言葉で煙に巻くような答弁でした。


私は大いに落胆しました。調査もしないなら、カラス問題の解決は程遠いのではないでしょうか。


この答弁を聞きながら、私は最近、よく行政で使われている言葉を思い出しました。


それは、EBPM(Evidence Based Policy Making=エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)です。直訳すれば、証拠に基づく政策立案です。


つまるところ、経験や勘で行ってきたその場限りの政策をやめ、目的や根拠を明確化した上で、政策を実施するやり方です。まさに、東京都や富山市などは、生息数の実態調査を行った上で、カラス対策を実施したのです。エビデンス、証拠集めを実践したのです。高岡市でも調査してほしいと切に思いました。


私が質問した際に、「異変」が起きました。拍手が起きたのです。


この拍手した傍聴人は周囲の雰囲気に気づき、すぐに拍手をやめましたが、これ以上やると、注意を受けます。


議会で、傍聴人が拍手するのは禁止されているからです。


高岡市議会傍聴規則では、


「議場における言論に対して拍手その他の方法により公然と可否を表明しないこと」と明記されているのです。


拍手もできない。それが「議会の掟」なのです。これは高岡市だけではなく、全国の地方議会でもそうなのです。


その「掟」自体、本当に正しいのか。


改革派の知事として知られた鳥取県の片山善博氏が著書「自治体の自立塾」という本の中で拍手を容認するよう訴えています。


開かれた議会を実現するうえで、大事だというのだ。


「地方自治は民主主義の学校と言われ、その民主主義社会では住民が主役のはずだ。ところが、その民主主義を最前線で具現化すべき地方議会において、住民に発言の機会がないどころか、言葉を発することも、拍手で賛意を表すことも禁じられている」


「地方議会がこんなありさまだとすれば、多くの住民がこれに違和感を覚え、不信の念を抱くにいたっても不思議ではない」


「議場の審議を妨害するような場合を除いて、傍聴人が議員の発言に賛意を示して拍手することぐらい許されていい」。


私は片山さんの考えに大いに納得しました。結局、議員は、市民の方々から共感を得るような努力をしなければなりません。市当局からそっけない回答しかもらえなくても、挫けてはいけないのです。市民ファーストを貫くことが、大事なのです。


(つづく。その1,その2,その3)


トップ画像)古城公園のカラス
出典)筆者提供


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