偵察総局元大佐キム・グッソン氏が語る北朝鮮 第1回 その経歴と亡命の動機
Japan In-depth / 2022年1月20日 15時28分
彼は2014年に亡命するまで偵察総局5局(対外工作部門)で大佐として勤務した。大佐称号は、現在労働党政治局員で統一戦線部長の金英哲(キム・ヨンチョル、偵察総局初代総局長)が2016年に偵察総局長を退任する時に付与されたという。
キム氏の夫人は労働党組織指導部第1部部長だったパク・ジョンスンの姪だ。 パク・ジョンスンは、金正恩を最高権力者にするための労働党規約改正文を直接読みあげた人物で、 金正恩後継勢力の核心の一人だったという。
一人娘だった姪とキム氏を結婚させ、張成沢にキム氏を紹介したのもパク・ジョンスンだったと語っている。キム氏の夫人も党中央委員会幹部部の部員として働いていたので、北朝鮮政権のエリート生活と権力に明るい(時事ジャ-ナルとのインタビュー)。
2)亡命の動機
組織指導部第1部部長だったパク・ジョンスンから張成沢党行政部長を紹介され、長い間繋がりを持ったが、2013年12月に張成沢が処刑されるのを見て、強い衝撃と身の危険を感じ、家族を連れて赴任地の中国から韓国に亡命した。
写真)張成沢粛清を報じるテレビニュース(2013年12月13日)
出典)Photo by Han Myung-Gu/Getty Images
キム氏は「張部長とは30年にわたって兄、弟と呼び合ってきた間だが、彼が2013年12月に処刑されるのを見て、私の運命も同じ立場になるということを痛感した」とし、「張成沢系列と見なされれば、平壌に帰っても親族と知人らが処罰されるだろうし、だからといって自ら命を断つこともできない切迫した状況に直面した」(時事ジャ-ナルとのインタビュー)と当時の立場を明かした。
そして「まさか金正恩が張成沢を殺すとは思わなかった。金日成の弟金英柱のように地方に追いやり隠居生活をさせると思っていた(YouTube ペン&マイク)」とも話し、金王朝3代の中で金正恩は最も残虐な指導者だと語った。
(第2回に続く。次回は偵察総局について)
トップ写真:北朝鮮・金正恩総書記 出典:Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images
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