ペントアップ需要いよいよ現実のものになるか「2022年を占う!」内外経済
Japan In-depth / 2022年1月24日 18時0分
コロナ禍で寸断されたサプライチェーンがなかなか元に戻らない。特に米国では、コロナ禍で解雇された人達が、雇用機会があってもかつてのように求職をしなくなっているようだ。いわゆる労働参加率の低下だ。その本当の理由はまだ良く分からない。それが構造的なものだとすると、現在のインフレは賃金上昇に結び付き、さらなるインフレを招く。
そうしたインフレのメカニズムの加速を避けるため、先進国の金融政策は、引き締め方向へと一斉に舵を切っている。それによって長期金利が上昇し過ぎると、今度はこの面から景気回復の頭が押さえられる。株式市場は既にそうしたことも意識しているようだ。
さらに、現在のエネルギー価格の上昇には、2050年のネットゼロカーボンに向け、石炭火力による発電が抑制されていることが効いている。これも構造的要因だ。インフレの動向は、ペントアップ需要についての「いよいよ」が、現実のものとなるかどうかを左右する。
▲写真 トルコリラが対ドルで下落したため、ガソリン価格が上昇し、値上げ前夜、ガソリンスタンドに給油しようとして来た車の行列。(トルコ・イスタンブール、2021年12月18日) 出典:Photo by Cem Tekkesinoglu/ dia images via Getty Images
もう一つ世界景気に不安材料があるとすれば、中国の動向だろう。不動産バブルとも言われているが、それが大きな調整局面に入り、中国経済がさらに減速すれば、日本もその影響からは逃れられない。中国は、日本のバブル崩壊の過程を隈なく研究したと言われている。典型的な失敗例とされるのは何とも居心地の悪いが、それを踏まえ上手な経済運営をしてくれれば今の日本にとってはかえってありがたい。
■ 2022年は米中にとって政治的に大事な年
2022年の内外経済の見通しの基本型は、ペントアップ需要がいよいよ現実のものとなり、2021年より高い成長を遂げるというものだが、このように、なかなか心配な点もある。他方で、政治面では11月に米国で中間選挙が予定されている。秋には中国でも共産党大会がある。いずれも両国の政権にとって重大なイベントだ。それだけに、経済運営に失敗できないと強く意識しているだろう。したがって、おかしなことが起こりそうになったら、全力でそれを食い止めるだろうから、経済面でとても悪いことが起こるとまでは警戒しなくても良いかもしれない。
2022年は、十干十二支で言うと壬寅(みずのえとら)。壬は妊に通じ、新しい命の胎動を表すようだ。また寅は、虫偏に寅と書くとミミズのことらしく、これもやはり地中の胎動を思わせる。中国数千年の歴史から来る知恵が、21世紀のグローバル経済にどこまで通用するか定かではないが、変化の期待を持っても良さそうである。100年前のスペイン風邪の流行も3年で終わったことだし、2022年が「いよいよ」の年になると期待したい。
トップ写真:オミクロン株感染拡大によるサプライチェーンの混乱で肉が品薄になっているスーパーマーケットの陳列棚。(フロリダ州マイアミ、2022年1月11日) 出典:Photo by Joe Raedle/Getty Images
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