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中国は「権威主義」か「ファシズム」か

Japan In-depth / 2022年2月5日 14時14分

同国は共産主義を基盤としているため、右翼的な「ファシズム」とは相容れないと主張する人がいる。中国の法学者、騰彪は、この国を“全体主義”と呼ぶ。しかし、「ファシズム」の特徴を考えてみると、国内では人種差別、ナショナリズム、家族の伝統的価値観を持ち出し、海外では領土・領海を拡大するため軍備増強する“ストロングマン”を戴く監視国家である。


習近平主席は個人崇拝を打ち立て、公的・私的空間に自らの肖像画を飾っている。中国のプロパガンダは同国の輝かしい歴史を想起させる一方、欧米列強による過去の中国への不当な扱いを嘆く。そして、北京はナショナリズムと犠牲者という両方のカードを使う。かつて中国に駐在し、今はベルリンにいる記者として、私には現在の同国が過去のドイツとどれほど重なるかを無視できない。


習主席は、明確にレバンチスト(復讐主義者)的課題を掲げている。台湾は彼のアルザス・ロレーヌ、インドとのヒマラヤ国境は彼のポーランド回廊、香港は彼のスデーテンランドと見立てている。



写真)2022北京冬季オリンピック開会式に臨む習近平中国国家主席 2022年2月4日
出典)Photo by Ju Peng - Pool/Getty Images


中国は南シナ海の大部分を自国領海だと主張する。また、独自の「九段線」に軍事基地を建設中である。地図上、中国の“生存圏”拡大は国境をはるかに超えている。


21世紀のテクノロジーは、20世紀の「ファシスト」が夢見た監視能力を中国共産党に与えた。顔認証カメラは14億人を追跡し、トイレットペーパーの盗難を防ぐため、カメラは公衆トイレにも侵入する。国家は大手テクノロジー企業との連携により、スマートフォン間で共有されるメッセージやコンテンツを制御し、追跡している。


中国共産党から自由に活動できる組織は、こうしたテクノロジーの覇者も含め、皆無である。中国企業は他の資本主義国の企業と同様、利潤を追求する。だが、党関係者は国益優先と見れば、企業内に踏み込んでくる。最も典型的な例は、億万長者のハイテク企業家、ジャック・マー(馬雲)だろう。マーは金融当局を批判した後、数ヶ月の間、姿を消した。


また、国家はマッチョイズム(男性らしさを誇示)に固執している。それはLGBTQコミュニティと関連付けられ、「女々しい」振る舞いを禁止した。同コミュニティの活動家は政府から報復を受けている。


他方、北京は数十年にわたる一人っ子政策から一転して、男女に子作りを奨励する。そのため、市民の最もプライベートな領域に踏み込み、パイプカットを取り締まることで男性の男らしさを高めようとしている。


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