大統領選 ウクライナ危機でマクロン氏リード
Japan In-depth / 2022年2月25日 11時0分
■ 現在の大統領候補者の状況
緊迫するウクライナ情勢のために立候補の宣言を延期しなければならなかったにもかかわらず、その交渉が求める結果にならなかったマクロン氏。これを機とみて、急進左派「不屈のフランス」の創設者ジャン=リュック・メランション氏をはじめとする野党候補らは批判を繰り返した。選挙で優位な立場になるための、恰好の攻撃材料とみたのだ。しかし、マクロン氏はフランス国内では一定の評価を得ている。結果がどうであれ、マクロン氏は、今、すべての大統領候補の中で、ヨーロッパとフランスを保護する能力が最も高い人物という評価が強まっている。
一方、急激に支持率を下げているのが、中道右派の共和党、イルドフランス地域圏議長のバレリー・ペクレス氏だ。正式に大統領選候補になるためには、3月4日までに国会議員、欧州議員、地域圏議会及び県議会の議員、そして市長から集めた、500人以上の推薦署名を提出しなければいけないが、推薦署名の数においては、2143件と最高値を出しているペクレス氏。しかし人気度は下落の一途をたどっている。
現在、マクロン氏が24.5%でトップなのに対し、ペクレス氏は11.5%と4位にまで落ちた。原因としては、まず、政策内容がマクロン氏とほとんど変わらないという点がある。また集会での返答があまり評価されておらず、ロシアとの交渉のような強い姿勢の外交が求められるときに、強靭な対応ができるかという点に不安が残った。
▲写真 イルドフランス地域圏議長バレリー・ペクレス氏(2022年2月21日、フランス・パリ) 出典:Photo by Chesnot/Getty Images
人気度では、2位に極右政党・国民連合のマリーヌ・ルペン氏18%、3位は極右の政治評論家、エリック・ゼムール氏13.5%であるが、現時点では推薦署名の数が500件に達していない。ルペン氏393件、ゼムール氏350件である。3月4日までの提出期限までに推薦をどこまで集められるかで今後が決まる。
なお、現在、推薦署名が集まっていないルペン氏、ゼムール氏及び、メランション氏は、この推薦署名制度を批判している。しかしながら選挙直前に制度が変更できるかはかなり疑問であるが、人気度トップクラスの候補者が立候補できないというのもおかしな話であることは、報道官のアタル氏もある程度の共感を示している。
大統領選の候補者たちは現在このような状況にいる。4月の投開票日まで約1カ月ちょっとになった。候補者の戦いもいよいよ最終局面に近づいている。
<参考>
2022年大統領選:スポンサー、世論調査、発言時間のダッシュボード
トップ写真:EUーアフリカサミットの2日目 記者会見に臨むマクロン仏大統領(2022年2月17日、ベルギー・ブリュッセル) 出典:Photo by Thierry Monasse/Getty Images
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