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ウクライナ侵攻 中国の微妙な立場

Japan In-depth / 2022年2月26日 18時0分

ウクライナ侵攻 中国の微妙な立場




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・習近平主席は、今秋の第20回党大会で3期目を目指している。





・ロシアがウクライナ東部2国の“独立”を一方的に認めるのなら、中国が台湾へ侵攻した時、米国も一方的に「台湾独立」を承認できることになる。





・ウクライナは中国の最大の貿易国相手国であり、中国の「一帯一路」が欧州に通じる重要なゲートウェイでもある。





 





今年(2022年)2月21日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部の「親ロシア派」勢力が掌握する2つの州を独立国として承認した。そして、同24日、ロシア軍は首都キエフをはじめ、ウクライナ各地に攻撃を仕掛けている(おそらく、今の「親欧米政権」転覆が目的ではないか)。





けれども、米軍やNATO軍はウクライナがNATOに未加盟のために動けない。その代わりに、欧米・日本は、ロシアに経済制裁を課す事にしたが、その効果には疑問符が付く。





2014年5月、ロシアと国境を接するウクライナのドネツク州とルガンスク州では、ロシアへの編入を求める「分離・独立派」が“独立”を宣言した。翌2015年2月、ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシアは、ウクライナ東部地域における戦闘の停止について、ミンスクで合意している。その後、「ノルマンディー・フォーマット」(同4ヶ国による協議枠組み)が機能しなかった。





ロシアにとって、ウクライナはベラルーシ同様、地政学的に死活的な“バッファーゾーン”(緩衝国)である。ウクライナがNATOに加盟すれば、ロシアは喉元にナイフを突き付けられた状態になるだろう(1962年に起きた「キューバ危機」の“逆バージョン”)。プーチン大統領は、それを嫌って、戦争を仕掛けた公算が大きい。





さて、中国共産党は、今般の「ウクライナ危機」をどのように捉えているのか。2月4日から始まった北京冬季オリンピックは、同20日に閉幕した。しかし、3月4日から同13日まで、今度は北京でパラリンピックが開催される。したがって、この時期、習近平政権としては、ロシアとウクライナ間の軍事衝突を歓迎できないだろう。





一方、習近平主席は、今秋の第20回党大会で、3期目を目指す。この人事を巡り、目下「習派」と「反習派」の間で、熾烈な党内闘争が行われている。習主席は党大会終了まで、国際的大事件に、直接、巻き込まれたくないに違いない(ましてや、台湾への侵攻を真剣に考える余裕はないだろう)。





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