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プーチン、4つの戦略的判断ミス

Japan In-depth / 2022年3月2日 11時0分

詳細はこちらをお読みいただきたいが、要するにプーチンの誤算は、


①ウクライナの善戦


②歴史的なウクライナ認識


③NATO諸国の結束


④ロシア情報戦の戦闘能力


の4つだ。


 あの冷静で切れ者の(はずの)プーチンが誤算する理由としては、「驕り」、「怒り」、「感情」、「老化」などがまず思い付く。勿論真相は不明だが・・・。


 今後もウクライナ側は徹底抗戦するだろうが、ロシア側が無差別攻撃すれば、キエフが陥落する可能性はある。他方、最初の4日間で、ウクライナは悲劇の主人公となり、ゼレンスキー大統領は英雄となり、ロシアの名声は地に堕ち、プーチン大統領は「悪の権化」と化した。ロシアは「得るもの」よりも「失うもの」の方が大きいだろう。


 仮に、キエフを占領し傀儡政権を樹立しても、ポーランドなど西方の陸上国境が閉鎖されない限り、ウクライナ国内の反ロシア勢力の武力闘争が続くだろう。今後ウクライナでの戦闘が長く続き、多くのロシア兵が犠牲になれば、1980年代のアフガニスタンと同様、その悪影響はロシア内政にも波及する。さてどうなるだろうか。



写真)ウクライナ侵攻に反対するデモ参加者を取り締まる警察官 2022年2月27日 ロシア・モスクワ


出典)Photo by Oleg Nikishin/Getty Images


〇アジア 


 「プーチンの誤算」だけでなく、「習政権もロシアの出方を読み誤った」と日経新聞のコメンテーター氏が書いたが、実に同感だ。「対立する米国への対抗上、ロシアとの連帯を重視するあまり、プーチン氏を冷徹に観察し、危ない野心に気づくのが遅れた」という。筆者の言う「勢いと偶然と判断ミス」が繰り返される時代を象徴する出来事だ。


 


〇欧州・ロシア


 28日、ウクライナは欧州連合(EU)への加盟を申請すると発表した。この時期のEU加盟申請、外交的には興味深いが、ロシアの反発は必至だろう。欧州委員会委員長は加盟を歓迎、バルト諸国やポーランドなどもこれを支持しているが、話はそう簡単ではない。交渉に数年かかるのは常識だから、これも情報戦の一部だろう。


〇中東


 28日、トルコ外相は「トルコはすべての国に対し軍艦の海峡通過を認めないと警告する」と述べた。同外相は前日、「ロシアによる侵攻を戦争と認識する」とも述べている。これまでトルコの対露政策はかなりブレていたが、今回はNATO加盟国として行動したのか、それとも全く別の思惑があるのだろうか。詳しい検証が必要だろう。


〇南北アメリカ 


 バイデン政権の経済制裁を柱とするウクライナ危機対応への支持率が8割を超えた。しかも、その支持は超党派だ。他方、米国によるウクライナへの軍事介入を支持する声は少数派である。今のところ、ウクライナ問題が米国内政に与える影響は限定的だが、もしキエフ陥落があればバイデン氏の判断は死活的に重要となり得る。


〇インド亜大陸 


 特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。


トップ写真:去年の年末記者会見に臨むプーチン露大統領 2021年12月23日 ロシア・モスクワ


出典) Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images


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