サハリン1、2からの撤退急げ 北方領土の共同活動も直ちに停止を
Japan In-depth / 2022年3月3日 23時0分
■「サハリン1、2」日本政府は事業継続?
一方、サハリン2について岸田首相は、「民間企業が対応を考えていくだろう。政府としても制裁などを見ながら相談にのっていきたい」(2日の参院予算委での答弁)と述べた。あくまで、民間の判断にゆだねる考えらしい。
気になるのは松野官房長官が「操業が継続されているのだから、日本の輸入に支障はない」(3月1日の記者会見)と説明していることだ。外国企業が撤退しても、日本企業はプロジェクトへの参加を継続するという方針であることがうかがえる。
サハリン2には日本から三井物産、三菱商事が出資している。生産量1000万トンのうち60%が日本向け、日本の輸入の7-8%にのぼっている。
■ 経済同友会は撤退示唆
政府も出資しているサハリン1への対応では、松野官房長官は「わが国のエネルギーの供給に支障をきたさないよう、各国と歩調を合わせて日本政府の関与のあり方を検討していく」(3月2日の記者会見)と、はぐらかすようなコメントにとどめた。
サハリン1には、エクソンのほか、日本政府や伊藤忠商事、丸紅などの官民による「サハリン石油ガス開発」、ロシア国営石油大手ロスネフチなどが参加、日本の輸入量に占める割合は1%だ。
経済同友会の櫻田謙悟代表幹事は、「現時点ではガス輸入を止めてはいない」と認めながら、「まだ判断していないというだけの話であり、このままロシアが国際法違反を繰り返すなかで、何事もなかったように取引を続けるとは思えない。深刻に検討されているだろう」と述べ、撤退を示唆、政府より事態を深刻に受け止めていることをうかがわせた。
■ 欧米と共同歩調とるも〝一歩遅れ〟
ロシアへの制裁をめぐっては、日本政府はこれまで、アメリカ、欧州各国と足並みをそろえてきたものの、一呼吸、タイミングが遅れている印象はぬぐえない。
ロシアの複数の銀行を国際決済システム(SWIFT)から排除する制裁を欧米が決めた時も、プーチン大統領、ラブロフ外相らの資産凍結の決定をした時も、日本だけ1、2日遅れた発表となった。
プーチンに対する制裁については、日本政府内に、北方領土への影響を考慮する慎重論があったといわれる。事実とすれば、ナンセンスというほかはない。
北方領土返還の意思などみじんも持たないロシアによる戦後最大の侵略に、毅然さを欠く対応などとったら、世界から嘲笑の的になろう。
写真)ベルリンのハウプトバーンホフ中央駅で食べ物、衣類、トイレタリーを手に入れる為に殺到するウクライナから脱出してきた人々
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