「日中友好」の光と影 国交50周年を機に その2 なぜ林芳正外相を懸念するのか
Japan In-depth / 2022年3月19日 18時0分
写真) 今年の全国人民代表大会での習近平国家主席 (2022年3月5日 北京)
出典) Photo by Kevin Frayer/Getty Images
日本の主要メディアは全人代を評して「日本の国会に相当する」などという表現を頻繁に使う。だが全人代では国会ではない。立法府であるふつうの国会ならば法案を審議して、可決もするし、否決もする。
だが中国の全人代では審議される法案が否決されることはない。共産党中央が提案した法案はすべて可決される。絶対の権限を持つ共産党政権の意思に全人代が逆らうことはないからだ。だから日本のような三権分立の正常な国家とはまるで異なる政治メカニズムであり、そこには日本と同様の議員というのは存在しないのである。
中国政府は日本との折衝では日中友好議員連盟をきわめて重視してきた。日本側への中国の政策や要求などの売りこみにはいつもまず同議員連盟を始めとする中日友好団体を最初の伝達相手としてきた。
日本の議員の側もここ2年ほどはコロナウイルス大感染や日中関係の悪化のために中国への友好的なアプローチは目立たなくなったが、かつては北京詣でが花盛りだった。
私が産経新聞中国総局長として北京に駐在した2年余の時期も日本からの国会議員の中国訪問が驚くほど多かった。その主体はいつも日中友好議員連盟だった。
1999年1年間に北京を訪れた日本の国会議員の人数を数えてみたら、なんと170人を越えた。まさに北京詣でのラッシュなのだ。
北京にくる日本の国会議員たちはみな中国側の要人と会い、中国側の日本や日中関係についての主張に耳を傾け、その骨子を北京駐在の日本人特派員たちに発表する。
そのころ中国は江沢民国家主席の下で日本側に対して「過去への反省が足りない」と非難していた。「日本では軍国主義が復活しつつある」などという批判もあった。中国の国内では日本について戦後の対中友好政策をまったく教えず、戦時中の日本軍の残虐行為だけを教える反日教育が徹底していた。
(3につづく。1はこちら)
トップ写真) 外相就任後初のG7会合に参加する林氏 (2021年12月11日 リバプール)
出典) Photo by Phil Noble - WPA Pool/Getty Images
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