「日中友好」の光と影 国交50周年を機に その5 アメリカが日本の対中友好団体を警戒
Japan In-depth / 2022年3月22日 11時0分
報告書の主題は「影響力作戦」という表記だったが、実際の内容は統一戦線工作についてだった。その点の説明が冒頭にあった。
「中国共産党の対外的な影響力作戦の決定的に重要な方法として一般の理解をほとんど得ていない手段は『統一戦線工作』である。この工作とは相手国の社会全体に対して中国共産党の目標に沿うように非共産党の要員や組織を動員して影響力を行使し、強化することを目指す戦略である」
つまりこの工作が日本にどのように仕かけられているかを調べたのがこの調査報告だというのだ。同報告はとくに日本について調べることの意義を序文で次のように説明していた。
「2019年1月に公表されたアメリカ国防総省国防情報局の『中国軍事力報告』はアメリカ、台湾、日本などに対して中国が政治闘争を実行していることを指摘していた。この政治闘争とは中国共産党が相手国の政府や社会の認識、信念、行動に影響を及ぼすための公然あるいは秘密の一連の手段行使を指す。
中国共産党がアメリカや台湾に対して実行する政治闘争の本質は両国の政府の情報開示やメディアや学界の調査によって、かなり明らかになっている。だが中国共産党が日本に対してその種の悪影響の行使のためにどんな作戦を実施しているかはあまり明確ではない。
中国側が日本でこの種の工作を進めるための組織や手法がどのように実施され、その結果、日本側にどのような効果や影響が生まれるのか、は調査されねばならない」
同報告はそして「日本での統一戦線工作の作業」と題して、統一戦線の対日工作にかかわるとする組織をまず列記していた。
これら組織は設立が古いところも多いが、長い存続のなかで習近平時代の近年になって統一戦線の新たな任務を与えられたとされている。
ただしこれら組織の活動には各組織自体の公式の説明どおりに、中華の同胞同士の連帯や日中友好、祖国統一など正当あるいは合法の動きも当然、含まれていることは明記しておくべきだろう。
(最終回につづく。その1、その2、その3、その4 。全6回)
トップ写真:クアッド(日米豪印)外相会合での林芳正外相とブリンケン米国務長官(2022年2月11日 豪メルボルン) 出典:Photo by Sandra Sanders - Pool/Getty Images
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