欧州で大戦後最大の難民危機
Japan In-depth / 2022年3月26日 11時0分
欧州経済はウクライナ危機が始まる前から、3年目を迎えた新型コロナウイルス禍や製造業の製品・部品のサプライチェーン(供給網)の混乱、インフレ高進への対応で巨額の資金支出を余儀なくされてきたが、これにウクライナ難民への手当て費用が加わる。
こうした中で、ウクライナ難民が受け入れ国に定住した場合、社会への貢献への期待もある。ウクライナでは学校教育の平均年数が11年超(国連調べ)と高く、職業を通じて受け入れ国の生産能力を高めることが期待されるともに、納税や消費を通じて受け入れる国の経済の拡大につながっているとの見方もある。
「欧州連合(EU)」はウクライナ難民に対し、これまで中東・アフリカ難民に対して行ってきた扱いとは様変わりの厚遇を打ち出している。ウクライナ難民は「一時保護」扱いとし、ひとまず最長3年間の滞在を認め、就職や子どもの教育などで便宜を図る。
EUは3月中旬、ウクライナ難民への人道的支援として5億ユ―ロの支出を約束。EU加盟国に対しても拠出拡大を促している。
◇ スムーズな受け入れ
国外に流出したウクライナ難民の大半は女性と子ども、それに高齢者だ。これは、18―60歳の男性は国内にとどまり、ロシア軍と戦うことを求められているからだ。
米国のポーランド外交筋によると、同国にはすでに200万人以上のウクライナ難民が入っており、ポーランドの一般家庭に受け入れられている。これまでのところ難民キャンプはできていないという。難民受け入れが比較的スムーズに進んでいる背景として、ポーランドに150万人のウクライナ移民が居住している点を挙げている。
▲写真 ウクライナでの戦争から逃れ、クラクフアリーナで住民登録に必要な電子システムに登録するために書類記入の列に並ぶ人々(2022年3月16日クラクフ) 出典:Photo by Omar Marques/Getty Images
その一方で、近隣諸国に逃れたウクライナからの難民のうち、アジア・アフリカ・中東出身者に対する冷遇が目立ち、列車への乗車を拒否されるなどのあからさまな差別も散見されるという。
国連によると、3月8日時点で、ウクライナから近隣諸国に逃れた難民のうち少なくとも10万9000人がガーナ、チュニジア、レバノンなど第三国出身者だったという。
◇ 二重基準
現在、ウクライナ難民危機の“最前線”にあるポーランドとハンガリーは、2015年に中東・北アフリカから大量の難民が欧州に流入した際、EU諸国の中で最も受け入れに消極的な加盟国だったとされる。「歴史のアイロニー(皮肉)」としか言いようがないのかもしれない。
ただ、ポーランドやハンガリーの「二重基準」をあげつらうことでウクライナ難民危機は解決しない。国際社会は二国間ベースに加えて、国連など国際機関を通じた、ポーランドなど受け入れ国に対する様々な支援を強化する必要に迫られている。
(了)
トップ写真:戦争で荒廃したウクライナからポーランドに渡り、メディカ国境検問所でポーランド当局が提供するバスに乗るのを待っている人々(2022年3月11日メディカ) 出典:Photo by Sean Gallup/Getty Images
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