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ブラジルは“迷走外交”、メキシコは“ロシア接近” ウクライナ戦争で中南米2大国の対応

Japan In-depth / 2022年4月13日 18時0分

サンパウロの有力政治アナリストは「ボルソナロ大統領がプーチン大統領との親密関係を強調することで強い指導者のイメージを自身の支持層にアピールしようとしている」と分析する。また、ブラジルの有力紙「フォリャ・ジ・サンパウロ」は、同国農業部門が多くの肥料をロシアからの輸入に依存していることが大統領のプーチン支持の背景にあるとの見方を示す。ボルソナロ大統領が大統領選でコンビを組む副大統領候補について、ロシアに批判的発言をしたモウラン副大統領を擁立しない意向を表明したことにも、プーチン大統領支持への強いこだわりが感じられる。


■ メキシコ外交の2面性


一方、ウクライナ戦争に対するメキシコの態度にもあいまいさが目立つ。在メキシコシティ外交筋は「ロペスオブラドール政権の外交には相反する2面性がある」と指摘する。


メキシコは2月の安保理と3月の国連総会の緊急特別会合での対ロシア非難決議案には賛成票を投じた。しかし、欧米各国の対ロ経済制裁には参加しないとロペスオブラドール大統領は断言。本稿執筆の現時点(4月初め)でメキシコはロシアとの経済活動に一切制限を課しておらず、アエロフロート・ロシア航空のメキシコへの乗り入れも続いている。ウクライナへの欧米の武器支援を同大統領は強く批判する。国連人権理事会のロシアの理事国資格停止の決議案の採決ではブラジル同様、メキシコは棄権した。



写真)メキシコのロペスオブラドール大統領


出典)Photo by Hector Vivas/Getty Images


メキシコの政権与党内やマスコミの間でも親ロシアの姿勢が目に付く。与党議員の中には、最近発足した「メキシコ・ロシア友好委員会」のメンバーもいるし、与党有力議員のアルマンド・コントレラス下院議員はプーチン政権との一層の関係緊密化を訴えている。


ロペスオブラドール大統領は、同友好委員会メンバーの米国訪問に関しビザ発給の停止を求める動きが米議会内で出たことを非難した。メキシコの有力紙「ラ・ホルナダ」はウクライナ首都のキーウ(キエフ)郊外で発生した大量虐殺について「ロシア、ウクライナの虐殺でっち上げ解明を国連に要求」との見出しで、ロシアの主張を全面的に伝える記事を掲載している。


ブラジルは右派政権、メキシコは左派政権という相違はあるものの、ともに民主主義国であり、かつ現在は安保理非常任理事国という重要な立場にある。中南米の2大国の対応は今後、同地域各国の動向にも影響を及ぼす可能性がありそうだ。


 


(了)


トップ写真)プーチン露大統領と握手するブラジルのボルソナロ大統領(2019年11月14日 ブラジリア)


出典)Photo by Mikhail Svetlov/Getty Images


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