スー・チーさんに禁固5年の判決
Japan In-depth / 2022年4月30日 23時58分
スー・チーさんは弁護士を通じて全ての容疑を否認している。今回の禁固5年はこれまでに判決がでた6件の裁判で受けた実刑判決の刑期と合わせると計禁固11年となる。
■ 禁固の合計100年以上との見方も
地元メディアなどでは全ての訴追容疑での裁判で実刑判決がでたとすると、その刑期合計は100年を超える可能性もある、としており軍政がスー・チーさんの政界復帰を阻止して政治生命を完全に絶つことを意図していることは明らかである、としている。
ミャンマーでは裁判所は軍政の強い影響下にあり、裁判官と検察官は軍政の裁判指揮に口を挟むことは失職や懲戒や異動に結び付くことから唯々諾々と従っているのが実態といわれている。
裁判所は2021年10月にスー・チーさんと弁護士の面会を制限し、面会後にその内容を内外の報道陣に伝えることも弁護士に禁止する判断を示し、スー・チーさんの近況や裁判の詳しい状況が分からなくなっている。
76歳と高齢で実質的軟禁状態にあるスー・チーさんの健康問題への懸念も出ているが、軍政側は情報を遮断している。
■ ASEAN仲介も手詰まり状態
ミャンマーもメンバーである「東南アジア諸国連合(ASEAN)」はミャンマー問題の仲介・平和的解決を目指して動いているが、実質的な成果を生み出すことに失敗し続けている。
というのも2021年4月にインドネシアの首都ジャカルタでインドネシアのジョコ・ウィドド大統領など主導で開催されたASEAN緊急首脳会議の場でミャンマーの軍政トップであるミン・アウン・フライン国軍司令官も対面で出席し、「5項目の議長声明」で合意した経緯がある。
この合意には「即時武力行使の停止」と共に「ASEAN特使による全ての関係者との面会」との項目が含まれている。2021年10月までのASEAN議長国ブルネイのASEAN特使、10月以降の議長国であるカンボジアの特使による、ミャンマー軍政との交渉、ミャンマー訪問、ミン・アウン・フライン国軍司令官との会談などの努力にもかかわらず「武力行使停止」「全ての関係者としてのスー・チーさんとの面会」も実現していないのが実情だ。
▲写真 2021年4月のASEAN緊急首脳会議の会場前で行われた、軍に拘束された人々の解放を求めるデモの様子(インドネシア・ジャカルタ) 出典:Photo by Ed Wray/Getty Images
■ 依然と続く軍と民主派の戦闘
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