習近平主席退陣報道がネット上に
Japan In-depth / 2022年5月11日 18時0分
そして、よく見ると、アナウンサーの表情には不安の色が浮かんでいた。珍しく映像の入らない報道である。まさか習近平主席は会議に出席していなかったのだろうか。なぜ会議の映像を放送しなかったのか。
また、別のニュースでは「北京市民に賛辞を!北京市委員会、市政府は全市の市民へ感謝状」、最後に「党中央委員会の強い指導の下、市が一丸となってコロナと闘うことで、その予防と制御のための戦いに勝つことを確信し、実行できる!」と締めくくった。
これも異例だが、「党中央委員会」だけで、その中に「核心」という文字が欠落している。噂話はあてにならないが、公式報道は興味深い。
以上が全文の拙訳である。
確かに、記事の前段の部分は、あくまでも噂に過ぎず、確証がない。ストーリーが創作され、「習派」または「反習派」が流した偽情報かもしれない。だからと言って、現時点で、これが嘘だと決めつける根拠も乏しい。おそらく、時が来れば、事実が明らかになるだろう。
ところで、4月末から5月初めにかけて、わずか数日間で、習近平政権が経済規制、対米外交、ロシア・ウクライナ戦争への姿勢などの主要問題で、政策レベルでの転換を行ったことに外部は気付いたという。
『時刻新聞』(2022年5月7日付)の「習近平は最も深刻な圧力を受けた直後、公式報道は異常なシグナルを発した」(b)という記事も、併せて概略を紹介したい。
近年の習近平主席の言動スタイルを見ると、もし、何らかの強い圧力がなければ、主席の肝煎りの3政策 ―コロナ規制、戦狼外交、無制限の中ロ協力― に関して、一斉に舵を切るとは考えにくいとアナリストが指摘する。
例えば、ある評論家は、直近の習近平演説を分析し、いくつかのポイントにまとめた。
まず、第1に、習主席は、現在のコロナ予防・制御方法は党の性質と目的によって決まると述べた。
これは「ゼロコロナ」モデルの政治的役割を大幅にアップグレードしたものである。今後、都市の「ゼロコロナ」化やロックダウンに反対する者は“反党”人士であり、“カラー革命”を起こす人物となるだろう。
第2に、習主席は、武漢市防衛戦に勝利したので、必ず上海市防衛戦にも勝つと述べた。
これには二つの側面がある。一つは、習政権は、上海市を1か月間ロックダウンしたが、「ゼロコロナ」を達成できず、失敗に終わったという事実が残った。もう一つは、同政権としては、上海市でどんなにコストがかかっても絶対に勝利するという決意である。
写真)新型コロナウイルスの感染拡大で市民に検査を実施する保健当局者(2022年4月6日 上海市)
出典)Photo by Kevin Frayer/Getty Images
現在、皆、北京市に目を向けつつあるが、政局の中心は明らかに上海市だろう。習主席の言葉を借りれば、「ゼロコロナ政策」は今や自らの絶対的な指導部を守るためのグリップとなっている。しかし、それは逆に「反習派」が自分を倒すためのグリップでもある。
結局、習主席は、「ゼロコロナ政策」に関して一歩も後には引けない状況なのかもしれない。一方、「反習派」としては、このままでは「“泥船”が沈んでしまう」という危機感を抱いているのではないだろうか。
トップ写真)習近平国家主席(2022年4月8日 北京)
出典)Photo by Kevin Frayer/Getty Images
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