比大統領選、マルコス候補が当確
Japan In-depth / 2022年5月12日 15時34分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・マルコス元大統領の長男で前上院議員のフェルディナンド・マルコス候補が圧倒的多数の得票を獲得し当選を確実にしたが、「暗黒時代への逆戻り」を懸念する声も強く、今後も緊張状態が続く可能性のあるといえる。
・「ドゥテルテ政権の主要政策は継承する」ことを明らかにしていることから、今後も経済政策での中国による経済支援、インフラ投資などへの依存という対中融和策は継続される可能性が極めて高い。
・現状ではマルコス元大統領の長男と現ドゥテルテ大統領の長女サラによる正副大統領という異例の新政権が誕生する可能性が極めて高くなっており、サラ候補者は副大統領と教育相を兼務する可能性も出てきた。
フィリピンの大統領選は5月9日に投票が行われ、選挙管理委員会などの非公式集計ではマルコス元大統領の長男で前上院議員のフェルディナンド・マルコス(愛称ボンボン・マルコス)候補が圧倒的多数の得票を獲得し、当選を確実にした。
ボンボン・マルコス陣営では10日からマニラ首都圏マンダルーヨン市の選対本部周辺で勝利を祝う支持者らの集会が断続的に開かれ、支持者は歓喜に酔った。
ボンボン・マルコス候補の報道担当を務めるビッグ・ロドリゲス氏によると11日の開票率98%の時点でボンボン・マルコス候補は約3109万票で2位の副大統領レニー・ロブレド候補との差が1600万票と大差をつけており、ロドリゲス氏は「ボンボン・マルコス候補が次期大統領に就任する」と勝利を確信するコメントを発表している。
主要野党の統一候補として政権交代を目指した副大統領のレニー・ロブレド候補は、反ドゥテルテ大統領、反マルコス元大統領の支持を結集することはできなかった。
ただ野党陣営は一斉に「正確な集計結果の確定を」「マルコス元大統領時代の強権弾圧政治への回帰反対」などを唱えてマニラ市イントラムロスにある選管本部前などで抗議活動を始めており、警戒にあたる警察部隊とのにらみ合いが続いているという。
写真)5月10日、マニラで警戒を続ける反マルコス・ドゥテルテのデモ隊。
出典)Photo by Lauren DeCicca/Getty Images
6階級制覇の世界的プロボクサーで国民的英雄でもあるマニー・パッキャオ候補は貧困層の支持を訴えたが、集会に集まる群衆の数が得票数に結びつかず、11日に大統領選での敗北宣言に追い込まれた。
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