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核抑止とはなにか 兼原元国家安全保障局次長と語る 最終回 日本の非核三原則のウソ

Japan In-depth / 2022年5月28日 23時0分

古森: イギリスやフランスもピストルをもつことで、自国の安全保障を確立しています。冷戦中に核大国のソ連に対して、イギリス、フランス両国とも究極的にはモスクワに核弾頭を撃ち込む潜水艦搭載のミサイルを保持していたのです。いまもその保持は続いています。





 私が中国に駐在していたとき、建国50周年の大式典が開かれましたが、「核開発によってわれわれ中国は急速な発展をし、大国となった」と、中国で核兵器を開発していた研究者たちが国民多数の前で表彰されました。また、私のワシントン駐在時代にパキスタンが核を保有しましたが、知り合いのパキスタン人は「こんなうれしい日はない」と涙ながらに喜んでいた。要するに自国の安全、独立、自由を守るためには核兵器を保有することがもっとも有効だと考える諸国が存在するのです。





兼原: それが普通の感覚ですよ。中国や北朝鮮が核軍拡を続けているのに、日本人は非核三原則や憲法九条を念仏のように唱えている。海外の人からしたら、「なぜ核武装したヤクザに囲まれているのに、日本は核武装しようとしないんだ?」と不思議がられています。









▲写真 原爆投下から75周年(広島、2020年8月5日) 出典:Photo by Carl Court/Getty Images





古森: もちろん唯一の被爆国として、非核三原則や憲法九条を厳守すべきだとする主張も理解はできます。しかし日本が核の議論から逃げ続けたことで、隣国の核の脅威が増大している現実と向き合わなければならない。「ヒロシマ」「ナガサキ」といった言霊(ことだま)だけで核廃絶を叫ぶのは、あまりに無責任です。





兼原: まったく同感です。繰り返しになりますが、アメリカが助けてくれる保障はどこにもありません。国民の間で議論が巻き起こるためには、まずは政治家が議論をスタートしなければならない。政治家が議論してはじめて、メディアからの批判がでて、国民の間で議論されるようになります。もし政治家が議論しないのであれば、国民に本当のことを教えないプーチンとやっていることが同じになってしまう。





古森: 岸田文雄首相には、政府として非核三原則の是非をめぐる議論を開始してもらいたいですね。





(終わり。その1、その2、その3、その4)





**この記事は月刊雑誌『WILL』2022年6月号掲載の古森義久、兼原信克両氏の対談「核を防ぐのは核だけ」の転載です。





トップ写真:日本で行われたクアッド首脳会議(5月24日) 出典:首脳官邸ホームページ 日米豪印首脳会合




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