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「10万人大会」を主催した李克強首相

Japan In-depth / 2022年6月1日 18時0分

しかし、左官・尉官クラスは、依然、「上海閥」で占められている。したがって、すべての軍が習主席の思惑で簡単に動くとは限らないだろう。





さて、「宮廷クーデター」の傍証は、北京市内で戦車が目撃されたのを含め10件を超えている。そして、直近に、また傍証となるような“事件”が起きた。





5月25日、李克強首相が中央・地方約10万人幹部を集めて、「全国経済安定化テレビ電話会議」を主催(a)したのである。前例のない規模だった。韓正副首相が議長を務め、孫春蘭、胡春華、劉鶴の3副首相も列席した。





李首相は会議で、目下、中国は経済的に困難に陥っていると強調した。だが、今回、李首相は最近の主張を繰り返しただけで、講話自体に新味はない。





それより重要なのは、国務委員の魏鳳和、趙克志、王勇、肖捷が出席した事だろう。経済会議に、魏鳳和・国防部長と超克志・公安部長が臨席するのは、異例中の異例ではないだろうか。同会議は、習主席の固執する厳格な「ゼロコロナ政策」を続けていては国がもたないので、いわば「国家総動員体制」を敷く目的だったと考えられよう。





このような大規模会議は、「大躍進」後の飢餓問題を解決するため、1962年1月~2月にかけて行われた共産党の「7000人大会」を彷彿とさせる(b)。





同会議で、劉少奇は、3年間(1959年~61年)の飢饉の原因を「3分の天災、7分の人災」とした。結局、毛沢東は党内の圧力によって会議で自己批判を行い、大会後、毛沢東は第2線に退いた。その後、劉と鄧小平が中央委員会の日常事務を取り仕切るようになったのである。





ところで、25日深夜、李克強首相の演説が官製メディアによって、いったん、打ち消された(c)。『経済日報』が習主席を支持する社論を掲載(d)したのである。





けれども、連日となる翌26日、李首相は、各地方当局者に対し、夏の穀物の収穫を確実にするため「いかなる理由であれ、政府が夏の穀物の収穫に影響を与える検疫所を設置することは許されない」と再び命令を下している(e)。





官製メディアでは、あたかも習・李バトルが勃発したかのように取り上げているが、実際は、李首相の「経済優先」の指示が“上意下達”で浸透しているのかもしれない。





 





<注>





(a)『自由時報』「中国共産党の権力闘争は風雲急を告げているのか。李克強、異例の10万人幹部会議を招集、解放軍上将も出席」(2022年5月26日付)





(https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/3939346)





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