ヤンゴンなどで戦闘激化 ミャンマー
Japan In-depth / 2022年6月3日 11時4分
このジャーナリストは「ヤンゴン市民は銃撃戦や爆弾騒動に慣れっこになっているようだが、よほどの用事がない限り外出を控えているようだ」と近況を伝えている。このジャーナリストはクーデター以後、報道陣が治安当局の摘発の標的になっていることからいち早く地下に潜伏し、ジャーナリストとしての活動も極力控えているという。
★抵抗した軍の情報将校を殺害
ミャンマー中部のマグウェ地方域の北部にあるポーク郡区では5月28日に軍の報道機関である「ミャワディ・ニュース」の情報通信部門の責任者で軍の情報将校(50歳)を地元のPDFが身柄を拘束して尋問しようとしたところ、ナイフで抵抗したため「やむなく射殺」したという。
この情報将校は軍が支援する地元の民兵組織とも関係し、マグウェ地方域中部や北西部で軍と民兵組織が行った一般村落の放火、攻撃にも同行して案内役を務めていたほか、PDFに関する情報も軍に提供していた、とPDFはみて身柄を確保して尋問を実施しようとしていたという。
軍は各地で武装抵抗を続けるPDFの掃討作戦を強化しており、PDFメンバーや支持者を拘束するために集落を一戸一戸しらみ潰しに捜索し、隠れている人をあぶり出すために民家を焼き尽くす「放火作戦」を進めている。このため一般市民の犠牲も増えている。
南東部タニンダーリ地方域では5月24日までに4人の住民の斬首遺体が発見され、それ以前には軍が住民の乗ったトラックごと放火して子供を含む多くの住民が焼殺されるなど軍兵士による残虐行為も増加しているという。
こうした人権侵害行為は国際的に報道されることも少なく、軍政に抵抗するミャンマー記者らによる独立系メディアが主に報じている。こうした記者は国外に逃れて報道を続けるか、当局の逮捕を恐れてミャンマー国内で潜伏するなどしてそれこそ命懸けの報道を続けている。
PDFやこうした記者らからは「ウクライナのような軍事的支援、武器供与などの国際的支援が欲しい」と支援を求める声が高まっているものの「ウクライナは国家対国家の戦争、ミャンマーは軍と民主派勢力の内戦」とその違いを自覚しながらも国際的な注目と支援を求めて戦いを続けている。
写真)市内で軍事政権の治安部隊の動きを遅らせるために市民によって道路の真ん中でタイヤが放火された。2021年3月27日 ミャンマー・ヤンゴン
出典)Photo by Stringer/Getty Images
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