「ゼロコロナ政策」否定する国務院通達
Japan In-depth / 2022年6月13日 11時0分
出典)Photo by Kevin Frayer/Getty Images
上海在住のあるネットユーザーは自身の微博アカウントで、「『任意に』とはどういう意味なのか」という質問を投稿している。「任意」をどのように定義・認定するのか。国の衛生委員会が優位なのか、地域の衛生委員会が優位なのか、それとも「お上からの指示」が優先されるのか。あるいは、現場スタッフに任せるのか。
実は、陝西省で、上海から帰国した大学生が「自発的自費検疫通知書」に署名し、宿泊費1日300〜500元(約6000~1万円)、朝食25元(約500円)、昼食40元(約800円)、夕食35元(約700円)という高額な検疫費を負担させられ、検疫期間中の費用を一括して支払わされるという事件が発生(d)した。
現在、米国在住の滕彪(元中国政法大学教員で、現ニューヨーク市立大学ハンター校講師)は「多くの規制条項は執行部門に裁量権を与えても、世論の反映と独立した司法制度がちゃんと整っていれば、その限りではない」(c)と述べた。
中国には、政策導入の段階で、民主的な伝達経路がなく、その後のプロセスでも、独立した司法制度という救済経路がない点が問題だろう。
先月5月、吉林省西平市がPCR検査を2回以上受けなかった者に対して「10日間の行政拘留、500元(約1万円)の罰金、信用失墜者リストへの掲載とメディアへの公開」などの罰則を発表し、国民の不満が爆発している。
一方、趙宏・中国政法大学教授は『澎湃新聞』(2022年6月5日付)で、「PCR検査常態化」政策について主に3つの懸念を示した(e)。
第1に、それには莫大な経済的費用と人件費がかかり、予算がブラックボックス化し、公的な監視が困難である。第2に、巨大な市場規模とその利益によって、PCR検査改竄事件が頻発している。第3に、「PCR検査常態化」は一般国民に大きな負担を強いるものであり、政府はそれを実施するために高い実施コストをかけなければならない。
また、滕彪は、「PCR検査常態化」には、他に2つの大きな問題があると指摘(c)する。1つは、政府がコロナ流行に乗じて国民の自由を制限し、監視を強めている。もう1つは、利益集団に汚職する機会を与えているという。
(注)
(a)『中国瞭望』「政治局常務委員5人が李克強を支持か?専門家:第20回党大会に向けて党内で内紛が続く」(2022年6月8日付)
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