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アジア安全保障会議、米中姿勢に変化なし

Japan In-depth / 2022年6月15日 17時50分

第二に、逆に言えば、国防長官はこれまであまり言及されてこなかったこの部分を敢えて繰り返したということである。米側の本音は、従来の台湾政策に変更がないと言いつつも、実質的には、最近の中国の軍事力増強に対応すべく必要な軍事的能力を向上させることで、台湾防衛のための米国の能力を「維持」するというところか。



写真)2019/5/30 台湾の屏東での侵入防止訓練


出典)Patrick Aventurier / GettyImages


 勿論、中国側も黙ってはない。魏鳳和国防部長はこう述べた。「台湾独立の試みは断固として潰す。台湾を中国から分離しようとする者があれば、中国は戦いを躊躇しない。いかなる犠牲を払っても最後まで戦う。中国の選択肢はそれしかないからだ。」中国語原文は手元にないが、この部分も、実は特に目新しいところがない。


要するに、米中とも基本的な政策は変えていないし、変えるつもりもない、ということだろう。この種の米中間の駆け引きは個人的に大いに興味があるが、それ以上に、最近米国内で対中政策の在り方そのものについて新たな議論が起き始めているようで気になっている。詳しくは今週の産経新聞WorldWatchをご一読願いたい。


〇アジア 


6日に一部地域を除く飲食店の店内営業を再開したばかりの北京でコロナ感染が再び拡大しているそうだ。ナイトクラブなどでクラスターが発生、9日以降、228人の感染が確認、濃厚接触者も8000人以上だという。TV朝日がクラブで踊る多数の若者の映像を流していたが、あれでは防ぎようがないね。正に、いたちごっこ、である


〇欧州・ロシア


 英国が先にEUと調印した離脱合意の一部に優先する法案を公表したという。これって、後出しジャンケンだが、EU側は反発、与党・保守党内でも対立が先鋭化する恐れがあるそうだ。ジョンソン首相は先日、内閣不信任決議可決を回避したばかりだが、こんなことをやっていると、この政権一層弱体化するのではないのかね?大丈夫か。


〇中東


 インドと中東イスラム諸国の関係が微妙になりつつある。モディ政権の与党報道担当者が預言者ムハンマドを侮辱したとして問題視されているのだ。一部の国ではインド大使を呼び出して抗議したり、スーパーの棚からインド製品が撤去されたりする事態に発展しているそうだが、歴史的にはヒンドゥーも「イスラームの敵」なのだろうか?


〇南北アメリカ 


米上院超党派グループが銃をめぐる安全対策の強化に関する法案の骨子に合意したそうだ。21歳未満の銃購入者に対する身元調査の厳格化や銃の違法購入の取り締まり強化などが含まれるそうだが、銃が自由に売買できることに何ら変わりはないようだ。これで銃規制強化とは、毎度のことながら、お笑い草である。


〇インド亜大陸 


 特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。


トップ写真)バイデン米大統領(左)とオースティン米国防長官(右)


出典)Photo by Anna Moneymaker/Getty Images


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