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北京の人事と対EU外交姿勢の転換

Japan In-depth / 2022年6月27日 23時0分

一方、北京は中国・欧州関係修復のため、党欧州特別代表の呉紅波(元国連事務次長)を 3週間欧州に派遣した。


米国のシンクタンク、大西洋理事会のフレデリック・ケンプ会長はCNBCに寄稿し、習近平主席は第20党大会の“政治リスク”から身を守ろうとする方法を探り始めた(d)と述べた。


呉紅波がベルギー、キプロス、チェコ、フランス、ハンガリー、ドイツ、イタリアを訪問し、それぞれの地で「ゼロコロナ政策」から「戦狼外交」・「社会主義経済への回帰」に至るまで、多くの問題で、呉は北京が「過ちを犯した」と言及した、とケンプは書いている。


呉紅波は、ロシア・ウクライナ戦争に直接触れたことはなかったが、欧州が米国よりも好ましいパートナーであることを再確認するためのメッセージを伝えたという。ケンプは、呉紅波のEUへのアプローチの仕方は異常であるという。


さて、中国経済は、常に共産党がグローバルな影響力を行使し、内部プロパガンダの正当性を証明する基盤となっている。



写真)ロックダウン後の上海市内の様子 2022年6月25日


出典)Photo by Hugo Hu/Getty Images


オーストラリアのケビン・ラッド元首相は『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2022 年5月11日付)に、次のような内容を寄稿している(e)。


第1に、中国のGDPの29%を占める不動産部門の危機は、大手の恒大地産集団が昨年デフォルトに陥って以来、予想以上に悪化している。


第2に、習主席によるハイテク産業への締め付けを受け、中国のハイテク大手10社の株式時価総額は過去1年で2兆米ドル(約270兆円)超も減少した。これらの企業は最近何千人もの社員をレイオフしている。


第3に、ロシアによるウクライナへの侵攻は、エネルギーや資源の価格を急激に押し上げ、すでに新型コロナのパンデミックで停滞していたサプライチェーンを混乱させた。


第4に、習主席は「ゼロコロナ戦略」へのこだわりを持つ。この戦略は上海を含む都市での大規模ロックダウンにつながった。しかし、45都市のおよそ3億7300万人の人々は4月下旬以降、何らかの形のロックダウン措置を受けている。こうした地域は、中国のGDPの約40%を占め、年間GDPは約7.2兆米ドル(約972兆円)にのぼる。


以上を総合すると、習政権が掲げている今年の経済成長目標5.5%の達成は非現実的だと指摘している。


(注)


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