【ファクトチェック】5兆円軍事費増やすなら「医療費の窓口負担、倍にしなくちゃならない」共産党志位和夫委員長→根拠不明
Japan In-depth / 2022年6月29日 21時0分
Japan In-depth編集部
【まとめ】
・共産党志位委員長が軍事費を増額すれば、医療費の窓口負担が倍増すると発言。
・軍事費増額が医療費の窓口負担増加を招く必然性はない。
・窓口負担増加を伴う軍事費増額は自民党の主張とも一致せず、志位氏の今回の発言はミスリードと言える。
【疑義言説】
2022年6月19日(日)放送のFNN系列「日曜報道 THE PRIME」9党首討論会で、政府・与党の、原子力潜水艦導入などを含む防衛費増の与党方針を受け、共産党の志位和夫委員長は、「5兆円軍事費増やすわけですよ。財源どうするんですか。消費税でまかなおうとしたら2%以上の増税になりますよ。医療費にかぶせようとしたら、医療費の窓口負担、倍にしなくちゃならない。現役世代、今3割負担ですから6割負担にしなきゃならない」と発言した。
この言説についてファクトチェックする。
■ 検証
窓口負担とは、厚生労働省によれば、医療費の一部負担(自己負担)のことを意味し、義務教育就学前は2割負担、6歳から69歳は3割負担、70歳から74歳は2割負担、75歳以上は1割負担を基本としている。ただし、70歳以上であっても現役並みの所得者である場合は、3割負担となっている。
現在の医療費の窓口負担は、2021年度11月9日に厚生労働省より公表された「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」によれば、令和元年度の国民医療費は44兆3,895億円となっている。この国民医療費を制度区分別から捉えれば、患者等負担分は、5兆4540億円(構成割合:12.3%)となる。
▲図1 制度区分別国民医療費(令和元年度) 出典:厚生労働省「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」
また、同じく国民医療費を財源別から捉えると、患者負担は、5兆1837億円(構成割合:11.7%)となっており、窓口負担の金額は、約5兆2000億円〜約5兆5000億円ということになる。
なお、下記の図表を見れば分かる通り、国民の医療費は患者負担以外に、保険料による負担と、病気の種類に応じて国や自治体が医療費を助成する公費による負担がある。公費による負担はさらに、国による負担と各地方自治体による負担に分けられ、国による負担が11兆3000億円程度、地方自治体による負担は5兆7000億円程度となっている。
▲図2 財源別国民医療費(令和元年度) 出典:厚生労働省「令和元(2019)年度 国民医療費の概況」
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