注目のゲリラ出身大統領、前途多難 コロンビア
Japan In-depth / 2022年6月30日 18時0分
▲写真 バイデン米大統領 出典:Photo by Thomas Lohnes/Getty Images
■ “ピンクタイド”再現説には疑問も
中南米第4位の経済規模を持つコロンビアで急進左派政権が誕生することになり、この地域の左翼化の傾向が一段と強まった印象は否定できない。2018年のメキシコ、19年のアルゼンチン、20年のボリビアに続き、昨年にはペルーで、今年はホンジュラスとチリで相次いで左派政権が生まれ、今度はコロンビアだ。
2000年代の“ピンクタイド”の再現説が多くのメディアで取り沙汰されている。2000年代前半を中心に中南米各国で、共産主義ほど過激ではないものの、社会主義的要素の強い政権が台頭した現象がまた、繰り返されるとの見方である。
資源価格の高騰を背景に左派政権が発足しているなど類似性は見られるが、あの頃と大きく違う点がある。当時はベネズエラにチャベス大統領という強力なカリスマ的指導者がいて反米左翼の旗印の下「21世紀の社会主義」を中南米各国に呼びかけ、政治・経済面で結集する動きが顕在化した。
▲写真 ベネズエラのチャベス大統領(当時)2006年 出典:Photo by Mario Tama/Getty Images
しかし、最近成立した中南米諸国には共通のイデオロギーがあるわけではなく、必ずしも反米一色でもない。ロシアのウクライナ侵攻をめぐっても、外交的対応はまちまちだ。「中南米で右派から左派へ相次いで政権が変わるのはイデオロギーの転換ではなく、それぞれの国の政権に対する社会的、経済的不満が原因」(米国の中南米専門シンクタンクの研究者)とみる専門家は多い。
“ピンクタイド”再現説には疑問があるとしても、ペトロ“大統領”の登場は、隣りの地域大国ブラジルの10月の大統領選で同国の左派勢力を勢い付けることが予想される。その意味で今回のコロンビア大統領選のインパクトは決して小さいものではない。(了)
トップ写真:大統領選の決選投票で勝利したグスタボ・ペトロ氏(中央)2022年6月19日 コロンビア・ボゴタ 出典:Photo by Guillermo Legaria/Getty Images
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