参議院選挙の本当の「争点」⑨起業・スタートアップ
Japan In-depth / 2022年7月7日 7時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・起業は雇用を増加させ、企業の新陳代謝を進める効果もある。
・日本の開業率は5.6%、廃業率も3.5%と他国と比較しても非常に低い。
・各党が公約を発表しているが、国として起業推進をするならば、国の事業からベンチャーへの発注重視などを始めるべきである。
岸田首相が「スタートアップ担当大臣」を設置することを発表した。「スタートアップは経済成長の原動力となる革新性を生み出すほか社会的課題の解決にもつながる」とも語った。まさに、オワコンとかした日本経済に必要な方策であり、今回の参議院選挙でも経済政策の一丁目一番地としてもいい話題でもある。
起業は、雇用増加を生み出すことはもちろん、企業の新陳代謝も進めるという効果もある。企業の参入・撤退が産業構造の転換やイノベーション促進の原動力となり、経済成長を支えるといっても過言ではない。
■ あまりに少ない起業・韓国に負けている
日本経済が成長してこなかった理由の1つとして、起業・イノベーションが進まなかったことが考えられる。そもそも、開業率と経済成長率との間には正の相関関係があるといわれている。開業率が高いと、経済成長率が高い、という関係性のことだ。ただし注意したいのは、開業率が上がれば経済成長率があがるという因果関係ではないことだ。
日本はどうか。
日本の開業率は5.6%。欧米主要国と比較して、最も高いフランスは13.2%、最も低いドイツでも6.7%となっている。廃業率も3.5%と最も低い。
画像)開廃業率の国際比較
出典)中小企業白書
画像)起業活動指数
出典)内閣府資料
特に韓国と比較するとそのヤバさが明らかになる。起業した法人設立数(2020年)でみると、日本が13万1238、韓国が12万3305(日経新聞調べ)。スタートアップランキングでみると、日本が22位の585社、韓国が39位の331社と、これだけみると日本のほうが優れているように思えるが、日本と韓国とでは人口も経済規模も違うので、それを考えると韓国の方が上になる。また企業価値が10億ドル以上の未上場企業で設立10年以内のスタートアップである「ユニコーン企業」の数(2010~18年)を比べてみても、日本は1社で世界9位、韓国が6社で世界6位と、圧倒的な差がある(科学技術・学術政策研究所HPより)。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ再登板で日本人の生活はどう変わるのか 第2次トランプ政権にとって主要な武器の中身
東洋経済オンライン / 2024年11月13日 7時30分
-
15年間の河村市政の評価は…11/24投開票の名古屋市長選挙 各候補者が市民に訴えたい“イチオシの公約”
東海テレビ / 2024年11月12日 21時36分
-
紀陽銀行×ATOMica×HIRAC FUNDで創る「KeySite」、2025年3月下旬和歌山市にオープン
PR TIMES / 2024年11月8日 11時15分
-
紀陽銀行×ATOMica×HIRAC FUNDで創る「KeySite」、2025年3月27日(木)和歌山市にオープン
PR TIMES / 2024年11月8日 9時0分
-
自公過半数割れで「時の人」に? 玉木雄一郎氏が率いる国民民主党の財政・金融政策を精読する
Finasee / 2024年11月7日 7時0分
ランキング
-
1コロナ新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか 「冬の対策とワクチン接種の是非」を医師が解説
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時0分
-
2靖国参拝誤報「極めて遺憾」=共同通信に説明要求―林官房長官
時事通信 / 2024年11月26日 13時18分
-
3アマゾン、出品者に値下げ強制か 独禁法違反疑い、公取委立ち入り
共同通信 / 2024年11月26日 12時45分
-
4元県議丸山被告に懲役20年求刑=無罪主張、妻殺害事件―長野地裁
時事通信 / 2024年11月26日 12時52分
-
5〈斎藤知事・公選法違反疑惑〉“広報”女性社長は「一度もやったことない」のに兵庫県eスポーツ検討会委員に選ばれていた…社長を選挙カーに上げた理由を聞かれた知事は仰天回答
集英社オンライン / 2024年11月26日 11時13分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください