1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

日本のものづくり最大の危機②

Japan In-depth / 2022年7月8日 14時0分

国民の消費意欲の著しく減退は、貯金と日々の生活のみに関心が向くようになり、教育と芸術に真っ先にお金が回らなくなる。しかも飲食業や観光業に対して、この両分野には何の補償もない。教育が衰退すれば知力において海外に劣るようになり、現在ですら日本人の平均月給は欧米の60%程度であるところ、ますます溝を開けられることになる。芸術や文化は人間だけが持つものであるから、それらが衰退すれば心の豊かさも海外からの関心も失われていくことだろう。天然資源の量に乏しい日本では人財こそが国際競争力の源泉であり「資本」である。しかもそれは養うには長い時間を必要とするものだ。失われないように維持しなければならない。


国民の消費意欲が著しく減退してしまっては、いくら観光促進事業を行っても日本国民が動くことはない。生活する上で必須のことではないからだ。海外の観光客に対しても先進国で日本だけが突出して厳しい。「ゼロリスク、ゼロコロナ追求で失う重大な勝因」にて書いたように、新型コロナウイルスによる犠牲を皆無にする、ゼロコロナ追求、生命至上主義に偏った施策ではなく、ある程度のリスクは踏まえた上で早急に経済力を回復させるべきだ。







▲写真 浅草寺周りの商店街(2022.07.09) 出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images


■新規顧客は期待できない。金融機関や大家は今の顧客を大切にすべき。


各種補助金は平時よりもコロナ禍中では支払いが遅れることは「日本のものづくり最大の危機①」に書いたとおりだ。コロナ禍支援金も支払いは遅い。筆者の場合、生活支援臨時特別給付金が支払われたが、銀行口座に振り込みがあったのが5月30日で、支払い決定通知の日付は6月10日、通知が葉書で届いたのは6月14日のことだった。通知の方が遅くなるのは月次支援金でも毎回のことだった。その一方で、融資の返済、家賃の支払いなどはコロナ禍でも支払いは待ってはもらえない。たとえ支払えても数日でも遅れてしまえば信用保証協会などに通報されて信用情報に傷がついてしまう容赦の無いものだ。


信用情報に傷が入るとは「信用情報機関に延滞履歴が掲載される」ことだ。返済などの遅滞が事故履歴として信用情報機関に掲載される、つまり「ブラックリスト」に載ることになる。以前は「事故原因となった債務を完済してから」5年から10年、各信用情報機関の定める日数で事故理由により信用情報は回復したものだが、長引く不況、コロナ禍では、こちらもゼロリスク追求により、些細なことでも掲載されてしまう。一度掲載されてしまえば二度と回復しない信用情報機関独自基準による「社内ブラック状態」に陥る。こうなると融資も受けられなくなり、賃貸物件も借りられなくなる。回復までに5年も10年もかかり、二度と回復しないとなれば事業復活は絶望的だ。


この状態は金融機関や大家にとっても不利益になる。今の顧客を捨て、新規顧客を新たに獲得しようにも、良好な経営を続けられている中小法人・個人事業者が減ってしまっているからだ。今の顧客を大切にし、苦しい状況を共に乗り切った方が、より早い回復に繋がる。業種によっては新たな利益は現在の顧客の80%が生み出すものであるから、無慈悲に切り捨てることなく大切に維持する方が新たな顧客がついてくる。


防衛費を増額することが議論されているが、その財源はどこにあるのだろうか。現在の円の価値では防衛費を2倍に増やしてやっと、現在の性能と同じ外国製武器を買えるようになる程度だ。まずは経済力を回復させなければならない。しかもそれは、信用情報の救済という費用のかからない方法で直ちに実行できる。


トップ写真:銀座(2017年11月) 出典:Photo by Smith Collection/Gado/Getty Images


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください