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スリランカが「破産国家」に、インド太平洋戦略下で日本は支援強化する時

Japan In-depth / 2022年7月14日 7時0分

2001年に初めて首相になったウィクラマシンハ氏は現在70歳を超えているが、5月12日にマヒンダ・ラージャパクサ首相の後任としての就任を、同首相の弟のゴダバヤ・ラージャパクサ大統領から要請され受諾した。





IMFからの救済措置取り付けについて、ウィクラマシンハ首相は6月初めの国会で「従来は開発途上国として協議できたが、今は破産国家としての協議になっている」と述べ、困難な交渉であることを強調した。IMFの救済措置の取り付けまでのつなぎ融資として30-40億ドルの手当てが必要とされている。





ウィクラマシンハ氏はインドとの関係が良好とされ、インドは融資枠を設定。コロンボを訪問したインドのジャイシャンカル外相は7月10日、「スリランカは難民が海外に流出する事態ではない。わが国はスリランカを支える。事態を見守っている」と語っている(インドのエコノミック・タイムズ紙7月10日電子版)。現地英字紙報道によると、コロンボ港にはインドから支援の尿素の運搬船が連日入港している。





アベイワルデナ国会議長は、最大の議員を擁するスリランカ自由党、サジット・プレマダーサ氏が率いる統一国民党など国会議員の属する15政党の代表者招致の会議を7月11日に開き、ラージャパクサ大統領とウィクラマシンハ首相の速やかな辞任、7月20日に大統領代行・新首相を選任し暫定政権を樹立、その後に総選挙を実施することを決めた。ウィクラマシンハ氏は20日の大統領代行選出まで大統領代行を務めることになったようだ。2015年、ラージャパクサ大統領の3選阻止でウィクラマシンハ氏と連携し、大統領となったスリランカ自由党を率いるパーラ・シリセーナ氏はウィクラマシンハ首相の辞任を要求した。





スリランカ政界は複雑だ。1980年代半ばに来日したラナシス・プレマダーサ首相の訪日時、日本のスリランカ協会関係者は同首相を「稀代の寝業師」と評していた。ラナシス・プレマダーサ氏は1989年に大統領に就任、1993年に不幸にも暗殺された。英米での留学後に政界入りしたサジット・プレマダーサ氏の地元はくしくもラージャパクサ兄弟と同じハンバントタ。2019年の大統領選では、ゴダバヤ・ラージャパクサ候補(得票率約52%)に敗れたとはいえ、約42%の得票率だった。





1951年9月にサンフランシスコで開かれた第二次大戦後の講和会議で、「憎しみは憎しみによって消え去るものではなく、慈悲によって消え去るもの」と演説したスリランカのJ・R・ジャヤワルデナ蔵相(当時)の恩は日本人の胸に深く刻まれている。第二代大統領となったジャヤワルデナ氏は国賓としてのほか何回も来日し、昭和天皇の大喪の礼にも参列した。





日本政府は5月20日、同国に対する医薬品、食料支援向けの資金協力実施を発表しているが、2014年に安倍晋三首相(当時)が日本の首相として24年ぶりにスリランカを訪問している。自由で開かれたインド太平洋戦略下での協力を強化する時といえるのではなかろうか。





トップ写真:ゴダバヤ・ラージャパクサ大統領とラニル・ウィクラマシンハ首相の辞任を求める抗議デモ(2022年7月9日、スリランカ・ゴール) 出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images




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