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河南省郷鎮銀行不払い事件の深い闇

Japan In-depth / 2022年7月17日 23時0分

6月27日、河南省地方金融監督管理局前に数十人が集まり、抗議活動を行った。だが、抗議が拡大すると、鄭州市警察が人々を排除した。他方、職員5人が「健康コード」の“乱用”で処罰されている。


実際、預金不払いの郷鎮銀行は4行以上で預金者数十万人、預金は約400億元(約8000億円)にのぼる。


2006年、中国で郷鎮銀行が始まった。もともと、当局の農村復興戦略の一環だった。郷鎮銀行は民衆から高い金利で預金を集めている。


今年6月22日、『第一財経』は、郷鎮銀行の銀行業務の規模は決して大きくないが、量的には中国で最も多い銀行になったと公表している。2021年末現在、全国の郷鎮銀行数は1651行で、中国全土に分布し、全国の金融機関数の約36%を占めているという。山東省には126行、河北省には110行、河南省には86行ある。


河南省政府は、同省郷鎮銀行預金者の怒りを鎮めるため、7月15日より、単一の金融機関で合計金額5万元(約100万円)未満の顧客に対し、預金を立替えると発表(c)した。


けれども、預金者が殺到し、たちまちシステムがダウンしている。そして、300人だけカネを受け取ったが、彼らはすぐにそれを他銀行へ送金したという噂が広がった。他方、単一の金融機関で預金合計金額が5万元(同上)以上の顧客の場合、支払いの手配は別途公告するという。


さて、今回の騒動で、河南省トップの楼陽生は、秋の第20回党大会で政治局入りが険しく、習主席の描く人事に支障をきたす恐れがある(d)。


今回の事件は、河南省政府と地元財界が結託して起きた。前述の呂奕は、失脚した蔡鄂生・中国銀行業監督管理委員会元副主席の「収賄事件」にも関与している。呂は、昨年から今年にかけて何度も調査されたが、結局、キプロスへ出国した。


実は、楼陽生は習主席の重要な育成人材だった。


2002年、習主席が浙江省へ転任し、翌年、楼は同省麗水市委員会書記に就任した。2007年、習主席が上海市へ転任したが、翌年、楼は浙江省政協副主席等に昇進した。2016年8月、楼は山西省に異動し、その後、同省トップとなり、昨年6月に河南省トップへと転勤した。


一見すると、楼は将来が期待できる。だが、昨年、河南省のGDP成長率は6.3%と全国水準よりも1.8ポイントも低かった。楼の政治実績では、政治局入りするのは難しいだろう。


 


<注>


(a)『万維読報』「『李克強は河南を調査せよ』何千人もの人が怒鳴る 楼陽生がぶら下がっている」(2022年7月10日付)


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