ブレグジットの評価が必要
Japan In-depth / 2022年7月22日 11時0分
貿易については、EUから英国への輸入はゼロ関税合意にもかかわらず、非EU地域からの輸入に比べて減少幅が25%上回った。
興味深いのは地域別の実態だ。2016年の国民投票で、ブレグジット賛成票の比率が高かった地域ほど経済的な悪影響の程度が大きいという。残留派が上回ったロンドンはこれまでおおむね「傷を負っていない」とされる。
◇グローバル・ブリテン
英国の貿易でEU諸国は貿易相手として輸出入とも50%以上を占めてきたが、英国はブレグジット後、非EU地域に販路を求めようとして「グローバル・ブリテン」戦略を打ち出してきた。その一環として、英国は対日EPA(経済連携協定)を結び、日本などアジア太平洋地域11カ国が加盟する環太平洋(TPP11))入りを目指して、現在交渉を続けている。
「ブレグジットは英経済に否定的な影響を及ぼさなかったというのはもちろん間違っている。企業にとって不確実性は増し、対EU貿易はますます困難になった。また一部の職種での労働者確保は難しくなり、インフレは確かにやや高進した」との英国の独立系エコノミスト、ジュリアン・ジーソン氏の指摘をコイ氏はコラム記事で引用した。
ジーソン氏は続けて、「このことは悲観論者が正しかったことを意味するのではものではない。悪影響の規模とそれが今後、どの位続くか、そして政策へのインパクトについて多くの意見の違いがあることを示している」とした。
ジョンソン氏は、離脱派の旗振り役になることによって、首相の座を射止めるという自己の政治的野望を達成したと指摘する向きもある。ジョンソン氏の後継者は少なくとも就任後早い時期に、ブレグジットの実態、それが英国に政治、経済、社会分野において与えている影響、今後の見通しなどについて独立の調査委員会を立ち上げて、調査・報告を命じるべきだろう。
(了)
トップ画像:ジョンソン英首相 2022年7月21日 イギリス・ロンドン
出典:Photo by Peter Nicholls - WPA Pool/Getty Images
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