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中国医療保険総額とその実態

Japan In-depth / 2022年7月28日 18時0分

他方、ワクチン接種に比べてPCR検査費用の方が、はるかに複雑である。例えば、「検査しなければならないグループ」と「検査を希望するグループ」という2つの集団では、費用の支払い方法が異なっている。





前者は国庫、医療保険、社会保険が負担し、後者は個人が一部負担するという具合に、医療保険費の負担者が別である。この件については統計がない。





昨年はまだ全国民に広くPCR検査を実施していなかったが、その時点では、PCR検査費用は高く、小さなコストでは済まなかった。





実際、ワクチンやPCR検査にかかる医療保険費以外、中国国内では、何万という医療機関が施設を改修し、コロナ対策に必要な機器や備品を購入した“隠れたコスト”も存在する。これらの費用の大部分は、国からの補助金で賄われた。









▲写真 北京市での集団PCR検査(2022年3月21日 中国・北京市) 出典:Photo by Andrea Verdelli/Getty Images





一方、コロナ発生以来、全国の病院の総収入は伸び続けているが、コロナによって全国の公立病院の診療回数が急激に減少し、収入は大きな影響を受けている(この点は後述する)。なぜ、このような矛盾が生じたのか。





業界関係者によると、政府がコロナ流行期に公立病院への財政補助を強化したためだという。コロナ流行前、公立病院の補助金は10%程度で、それは国庫から捻出されていた。





けれども、2020年には政府補助金が16%まで増え、コロナの流行状況が比較的安定した昨年でも、例年よりはるかに高くなっている。つまり、治療回数の減少による公立病院の減収を国家が補助金で補填している構図である。





しかし、これらの補助金は、病院の“防疫支援”のために使われているので、治療回数に連動した医師の収入や病院の収益には、直接、結び付かない。したがって、多くの医師の収入は減少し、病院も赤字が続いている。





実は、医療保険総額はGDPとよく比較される。





1952年から2018年の間に、中国の医療保険総額は8.5億元(約170億円)から5.9兆元(約118兆円)に急増し、同国GDPの1.3%から6.6%に増加した。





だが、2019年のデータでは、中国の医療保険総額のGDPシェアはWHO加盟国の中、86位、BRICS諸国の中では南アフリカ(9.11%)、ブラジル(9.88%)を下回っている。また、OECD諸国の同総額平均がGDP比約8.8%からすれば、中国の医療保険への投資は少ない。





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